2010/4/19

総合 –EUウオッチャー

航空混乱の長期化必至、EUは19日の緊急協議で対応検討

この記事の要約

アイスランドの火山噴火による火山灰の影響で、欧州では飛行制限が始まった15日から18日までの4日間に6万3,000便強が欠航となり、680万人以上に影響が及んだ。18日にはスペイン、ドイツ、フランスなどで空港を再開する動 […]

アイスランドの火山噴火による火山灰の影響で、欧州では飛行制限が始まった15日から18日までの4日間に6万3,000便強が欠航となり、680万人以上に影響が及んだ。18日にはスペイン、ドイツ、フランスなどで空港を再開する動きが出ており、19日には欧州を離発着する航空便の約半数が運航可能になるとの見方も出ているが、ロンドンやパリなど主要航空は再開のメドが立っておらず、混乱は長期化が必至の情勢。国際航空運送協会(IATA)は今回の混乱による航空会社の損失が1日当たり2億ドルを超えると試算しており、航空業界への影響は2001年9月の米同時テロを上回るとの見方が出始めている。EUは19日に運用相によるテレビ会議を緊急開催し、運航再開に向けた今後の対応を協議する。

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欧州の航空管制を統括するユーロコントロールによると、18日午後9時(日本時間19日午前4時)現在、22カ国で空港の閉鎖や運航制限が続いており、この日だけで約2万便が欠航した。ただ、地中海沿岸では火山灰の影響が少なくなっており、スペインがすでに空港を全面再開したほか、イタリアも19日朝までに閉鎖を解除する方針。一方、英国は19日午後7時までの閉鎖延長を発表しており、フランスでも南部の空港を除いて20日朝まで閉鎖が続く見通しとなっている。

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こうしたなか、オランダのKLMやドイツのルフトハンザなどが相次いで試験飛行を実施するなど、航空業界では週明けの運航再開を模索する動きが出ている。両社とも火山灰による機体への影響はなかったとしており、欧州航空会社協会(AEA)と国際空港協議会(ACI)は試験飛行の結果を受けて同日、欧州各国の航空当局に飛行禁止措置の見直しを求める声明を発表した。欧州以外の地域では火山噴火で今回のような飛行禁止措置がとられることはないと指摘し、当局に規制の見直しを求めている。

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飛行制限は原則として各国の航空当局に判断が委ねられているが、19日のEU運輸相会議では試験飛行の結果を踏まえ、運航再開の条件などが話し合われる見通しだ。また、欧州委員会のバローゾ委員長は18日、同委のカラス委員(運輸担当)を中心とする担当委員3人に対し、今回の事態がEU経済に与える影響について詳細に分析するよう命じたことを明らかにした。同委員長は「欧州は前例のない事態に直面している。火山灰の広がりが域内の経済、とりわけ航空業界に及ぼす影響を正確に把握したうえで、必要に応じて適切な措置を講じていく」と述べた。

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一方、欠航の影響を受けた乗客への補償について、カラス委員は15日、航空会社はEUルールに基づき、航空券の払い戻しやルート変更などの要求に応じなければならないとの見解を示した。2004年に制定された航空旅客に対する補償ルールは、悪天候などの不可抗力で欠航や発着に遅れが出た場合も航空会社に運賃払い戻しなどの義務が生じるとしており、今回もこのケースに該当すると判断した。

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