2010/4/12

産業・貿易

欧州委が労働時間指令の見直しに着手、労使関係者から意見募集

この記事の要約

欧州委員会はこのほど、労働時間の上限などを定めたEU労働時間指令の見直しに向け、各方面からの意見募集を開始した。同指令が制定された1993年当時と比べて労働時間が全体として短縮していることや、パートタイム労働者の増加など […]

欧州委員会はこのほど、労働時間の上限などを定めたEU労働時間指令の見直しに向け、各方面からの意見募集を開始した。同指令が制定された1993年当時と比べて労働時間が全体として短縮していることや、パートタイム労働者の増加など労働市場における過去20年間の変化を踏まえ、労使関係者などから寄せられる意見を基に現行ルールが実態に即しているかどうかを見極めながら、労働者の保護を実現しながら域内企業の競争力維持を図るために必要な措置を講じる。

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EUでは2004年以降、産業界を巻き込んで労働時間指令の改正案について協議が続いていたが、週48時間の上限を超えて労働させることを認める例外規定(オプトアウト)や、医療関係者などの「待機時間」の扱いなどをめぐって欧州議会と加盟国の間で調整がつかず、昨年4月に廃案になった経緯がある。欧州委のアンドル委員(雇用・社会問題担当)は「現行ルールの改正案で合意できなかったことが問題の解決を意味するわけではない。我々は労働者、雇用者、消費者の要求に対応したバランスの取れた解決策を引き続き模索する必要がある」と指摘。向こう6週間にわたってソーシャルパートナーから広く意見を募集し、それらを踏まえて現行ルールを詳細に評価したうえで新たな改正案の検討に入る方針を示した。

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欧州委によると、EU域内における週当たりの平均労働時間は1990年の39時間から06年は37.8時間に短縮した。一方、就労人口に占めるパートタイム労働者の割合は92年の14%から08年は18.8%に拡大している。こうした変化を踏まえ、欧州委は労働者の健康と安全の確保、ワーク・ライフ・バランスの向上、労働者と雇用者の双方にとっての柔軟な労働市場の実現などに重点を置いて労働時間指令の抜本的な見直しを進める。

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