2010/4/12

環境・通信・その他

児童ポルノ規制強化を提案、ネット悪用などにEU全体で対応

この記事の要約

欧州委員会は3月29日、児童への性的虐待に対する罰則の強化を含む児童ポルノ規制強化案、ならびに人身売買の取り締まり強化案をEU加盟国に提示した。インターネットを利用した性犯罪や外国での児童買春などには国境を越えた規制と取 […]

欧州委員会は3月29日、児童への性的虐待に対する罰則の強化を含む児童ポルノ規制強化案、ならびに人身売買の取り締まり強化案をEU加盟国に提示した。インターネットを利用した性犯罪や外国での児童買春などには国境を越えた規制と取り締まりが必要として、EUレベルでの対策強化を求める内容となっている。

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提案には、海外旅行先での児童買春について各国が帰国後の訴追を可能にすることや、インターネットを介して未成年と知り合う機会の悪用を防止するための対策が含まれる。また、児童を対象としたポルノ画像・映像のネット上への掲載やそれらへのアクセスを取り締まるための対策として、EU域内からのこうしたサイトへのアクセスを遮断する措置などの導入も盛り込まれた。

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法案は2004年に施行された現行規則に取って代わるもの。昨年発効したリスボン条約の下で、これまで政府間での協力にとどまっていた警察および司法分野の制度や手続きが、今後は段階的にEUレベルで統合されていくことになる。これに伴い欧州委には、EU法が各国の規則に適切に反映されているか検証することが認められるほか、違反した加盟国を提訴することも可能になる。

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欧州の未成年のうち、10人に1~2人が性的虐待の被害者という試算があるほか、特定の性的暴力の発生件数は増加が続いており、被害者の年齢は若年化が進んでいる。インターネット上の児童ポルノのサイト数や暴力的な画像も増えており、1日あたり約200件の関連画像が新たに掲載されている。

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国際労働機関によると、少なくとも245万人とされる人身売買の被害者は強制労働をさせられており、うち43%が売春を強要されている。人身売買により、EU域内に連れてこられるか、あるいは域内で強制的に移動させられる被害者は年間数十万人と推定されている。

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