2010/4/12

欧州ビジネスウオッチ

アイルランド、大手銀の不良債権買い取り発表

この記事の要約

アイルランド政府は3月30日、国内銀行が抱える不良資産の受け皿機関である「国家資産管理庁(NAMA)」が来年2月末までに大手5銀行から総額810億ユーロの不良債権を買い取ると発表した。また、5銀行に資本増強を命じ、必要に […]

アイルランド政府は3月30日、国内銀行が抱える不良資産の受け皿機関である「国家資産管理庁(NAMA)」が来年2月末までに大手5銀行から総額810億ユーロの不良債権を買い取ると発表した。また、5銀行に資本増強を命じ、必要に応じて公的資金を追加注入することも明らかにした。

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NAMAの不良債権買い取り額は、当初計画の770億ユーロを上回る。第1弾として160億ユーロ相当の不良債権を簿価より平均47%安い価格で買い取る。対象銀行と買い取り額は、アイルランド銀行(19億3,000万ユーロ)、アライド・アイリッシュ銀行(32億9,000万ユーロ)、アングロ・アイリッシュ銀行(100億ユーロ)、EBSビルディング・ソサイエティ(1億4,000万ユーロ)、アイリッシュ・ネーションワイド(6億7,000万ユーロ)。割引率は銀行によって異なり、アイルランド銀行の35%からアイリッシュ・ネーションワイドの58%まで幅がある。

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一方、資本増強の総額は約220億ユーロ。その多くが公的資金注入で賄われる見込みで、アングロ・アイリッシュ銀行は必要とする83億ユーロの全額を公的資金に頼る。これにより同行に対する政府の持ち株比率は現在の25%から大幅に膨らみ、50%を超える見通しだ。最大手銀のアイルランド銀行は26億6,000万ユーロの資本増強を求められるが、レニハン財務相によると全額を自力で調達できる見込みという。

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