2010/5/3

総合 –EUウオッチャー

「対外活動庁」の機構で非公式合意、なお調整必要に

この記事の要約

EUは4月26日にルクセンブルクで開いた外相理事会で、EUの「外務省」に当たる新設機関「欧州対外活動庁(EAS)」の設立案について非公式に合意した。ただ、合意したのは、同機関を率いるアシュトンEU外交安全保障上級代表(E […]

EUは4月26日にルクセンブルクで開いた外相理事会で、EUの「外務省」に当たる新設機関「欧州対外活動庁(EAS)」の設立案について非公式に合意した。ただ、合意したのは、同機関を率いるアシュトンEU外交安全保障上級代表(EU外相)が提案した基本的な機構に関する部分にとどまっており、なお加盟国や欧州議会などとの調整に時間がかかりそうだ。

\

欧州対外活動庁の設立は、昨年12月に発効したEU新基本条約「リスボン条約」にEU機構改革の一環として盛り込まれたもの。同じくリスボン条約によって創設されたEU外相を補佐する組織で、数千人のスタッフを擁し、加盟国と協力しながらEUの外交政策を推進する。海外にあるEU代表部も管轄下に置く。

\

同機関をめぐっては、具体的な権限や機能、予算の詳細は固まっておらず、初代外相のアシュトン氏の提案を加盟国、欧州議会、欧州委員会が承認して正式発足することになっている。今回合意したのは、◇スタッフの3分の1は各加盟国の外務省が派遣し、残りは欧州委員会、欧州理事会事務局の職員で構成する◇欧州対外活動庁の在外機関の領事機能は制限し、EU市民の保護など加盟国から要請があった場合にのみ行う――など一部の基本部分。その他については先送りされた。

\

外相理事会は予算など残りの部分について5月10日の会合で詰める予定。欧州対外活動庁の機構案は6月のEU首脳会議で承認を得た上で、7月の欧州議会本会議での採決にかけられる見通しだが、大きな外交権限を同機関に委ねることに慎重な加盟国が多いことなどから調整の難航が予想される。

\