2010/5/10

総合 –EUウオッチャー

「単一欧州空域」構想の実現前倒しへ、噴火の混乱踏まえ加盟国が合意

この記事の要約

EU加盟国は4日に開いた臨時運輸相理事会で、先月のアイスランド火山噴火で欧州の空が大混乱した問題を受けて、EU域内の航空交通管制システムを一元化する「単一欧州空域」構想の実現を急ぐことで合意した。同構想は2012年に実現 […]

EU加盟国は4日に開いた臨時運輸相理事会で、先月のアイスランド火山噴火で欧州の空が大混乱した問題を受けて、EU域内の航空交通管制システムを一元化する「単一欧州空域」構想の実現を急ぐことで合意した。同構想は2012年に実現の予定だったが、今回の航空網混乱を機に、前倒しする方針だ。

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EUでは航空管制が統一されておらず、加盟国が独自に管理している。このため、4月14日の火山噴火では、空域閉鎖などの対応がばらばらとなり、混乱に拍車をかける形となった。

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2009年3月に可決された「単一欧州空域」実現に向けた法案は、航空管制を一元化することで航空運営を効率化することを目指すもの。域内の管制空域を再編して9つのブロックに分け、飛行ルートの最適化を図ることが柱となっている。

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同構想は当初、航空管制システムが統合されて最短ルートでの飛行を実現することで航空機の燃料消費を抑え、地球温暖化ガスの排出を削減するという環境対策に主眼が置かれていた。しかし、アイスランドの火山噴火再発で欧州の空に再び同様の事態が発生する恐れがくすぶる中、その対応策として構想の早期実現を図る。

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一方、欠航で大きな損害を被った航空会社への支援については、すでに欧州委が前向きの方針を示していたが、今回の理事会ではいくつかの国が安易な救済に慎重な姿勢をみせ、結論は出なかった。

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