欧州委員会が5月31日発表した同月のユーロ圏の景況感指数(ESI、標準値100)は98.4となり、前月の100.6から2.2ポイント低下した。同指数は09年4月から、ほぼ一貫して上昇傾向にあり、前月に長期平均の100を突破したばかりだが、ギリシャに端を発した信用不安で先行き不透明感が広がっているもようだ。
\2.2ポイントという下げ幅は、2008年のリーマンショック時以来最大。ギリシャのほかスペイン、ポルトガルなど財政が悪化している南欧諸国が進める財政緊縮が景気に悪影響を及ぼすとの見方が反映されたとみられる。オランダ大手銀行INGのエコノミストは「景況感の悪化は、南欧の周辺国の財政危機問題が(ユーロ圏の)実体経済にも波及し始めていることを物語っている」と指摘する。
\ESIを構成する5分野を個別にみると、小売業が4ポイント、サービス業、消費者、建設業が3ポイントの幅で前月から低下した。製造業はユーロ安による輸出増加を好材料に、1ポイント上昇と唯一、伸びた。
\EU27カ国ベースのESIは前月を1.9ポイント下回る100.0。ドイツなど一部を除く大部分の国で下がった。とくにギリシャは7.2%低下と大きく落ち込んだ。
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