欧州議会の運輸委員会は5月31日、バスと船の欠便や遅延などの被害を受けた乗客に対する補償を定めた法案を賛成多数で可決した。EUでは航空便を対象に、2005年から運航キャンセルや遅延に対する補償ルールが施行されているが、バスと船についても同様のルールを導入し、乗客の権利保護を強化する。法案は7月に欧州議会本会議を通過すれば、続いてEU閣僚理事会で審議される。
\法案によると、船やフェリー、クルーズ船などの出発が1時間以上遅れた場合、乗客は軽食や飲み物などを要求することができ、遅延が90分を超えた場合、事業者は運賃を払い戻すか別の便を手配しなければならない。さらに出発が翌日にずれ込んだ場合、乗客は1泊あたり120ユーロを上限として船会社に宿泊代を請求することができる。ただし、気象条件や制御不能な不測の事態で遅れが生じたことを証明できれば補償の義務を免れる。また、運航距離500メートル、定員12名、乗員3人に満たない船舶および観光船は補償ルールの適用から除外される。 バスと長距離バスに関しては、出発が1時間以上遅れた場合、乗客は軽食や飲み物などを要求することができ、遅延が2時間を超えた場合、事業者は運賃を全額払い戻すか、別の便を手配しなければならない。別便への振り替えが不可能な場合は乗客に運賃の50%が補償として支払われる。また、運転手の過失や整備不良などで到着が2時間以上遅れた場合は運賃に50%を上乗せした額が乗客に支払われる。なお、都市部と郊外の路線バスは補償ルールの対象から除外される。
\一方、バスや船の事故で乗客が負傷または死亡した場合、事業者は無限責任を負い、事故から15日以内に補償の一部を支払わなければならない。ただし、制御不能な不測の事態によって事故が発生した場合は補償義務を免れ、事業者側に事故の責任があることかどうか明白でない場合は15日以内の支払い義務が免除される。
\