欧州委員会は遺伝子組み換え作物(GMO)の栽培認可を迅速化するため、近く認可手続きの変更を加盟国に提案する方針を固めた。安全性が確認された品種についてEUが域内での栽培を認可したうえで、加盟国が独自の判断で栽培を禁止できるようにする。これはGMOをめぐる加盟国間の対立を解消するための妥協策で、早期認可を求めてEUへの圧力を強めている大手メーカーと、GM技術に反対する環境団体の双方から新システムを評価する声が出ている。ただ、栽培が認可された国と禁止された国が隣接する場合の具体策や、単一市場ルールとの整合性などを懸念する向きもあり、調整が難航する可能性もある。
\欧州委は域内農業の競争力強化を図るため、農家の選択肢を増やして非GMOとGMOの共存を推進すべきだとの立場だが、EU内ではスペインや英国をはじめとする推進派とフランスを中心とする反対派の対立が続いており、欧州食品安全庁(EFSA)の安全宣言にもかかわらず、栽培認可の手続きが宙に浮いた状態が続いていた。こうした中で欧州委は今年3月、独BASFが開発したGMジャガイモ「アムフローラ(Amflora)」の栽培認可に踏み切った。これはEUがGMOの新規認可を再開した2004年以降で初めてのケースとなり、欧州委はその際、夏までに栽培認可の手続きに関する新たなルールをまとめる方針を示していた。
\欧州委のウェイト報道官は4日、ブルームバーグ通信の取材に対し、「認可手続きに関する現行ルールの下で加盟国は身動きがとれなくなっている」と指摘。GMOの栽培認可はEUレベルで行い、そのうえで加盟国が栽培を禁止できるようにする「オプトアウト方式」の導入を検討していることを明らかにし、「栽培認可の手続きを迅速化することが新ルールの目的だ」と述べた。同報道官によると、欧州委のダッリ委員(保健・消費者政策)が7月13日の閣僚理事会で新たな認可手続きを提案するという。
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