2010/6/7

産業・貿易

オンライン賭博の国外展開、各国に禁止の権限=欧州司法裁

この記事の要約

欧州司法裁判所は3日、英国のオンライン賭博業者がオランダで営業できないのはEU法に反するとして起こした2件の訴訟について、各国当局は消費者保護や詐欺防止の目的ならば国外のオンライン賭博業者の営業を禁じることができるとの判 […]

欧州司法裁判所は3日、英国のオンライン賭博業者がオランダで営業できないのはEU法に反するとして起こした2件の訴訟について、各国当局は消費者保護や詐欺防止の目的ならば国外のオンライン賭博業者の営業を禁じることができるとの判断を下し、原告の訴えを退けた。

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訴えのうち1件は賭博業者の英ラドブロークに関するもの。オランダの非営利賭博業者デ・ロットは、オランダの事業免許を持たないラドブロークによる国内でのオンライン賭博を禁じるようオランダの裁判所に提訴。敗訴したラドブロークはオランダ最高裁に控訴し、同最高裁は2008年にオランダの免許制度が域内のモノやサービスの自由な移動を保証するEU法に抵触しないかどうか欧州司法裁に判断を委ねていた。

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もう1件はオンライン賭博で世界最大手の英ベットフェアが、オランダの同業2社に認められている免許を申請したところオランダ当局から取得を拒否されたとして同国の裁判所に提訴。同裁判所は欧州司法裁に判断を求めていた。

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両社は、EU法は企業が域内の国境を越えて事業を展開する権利を認めており、英国で免許を取得していればオランダなど域内他国でも事業を展開できると主張していた。しかし欧州裁は、消費者の保護や詐欺防止、賭博での散財の扇動を阻止する目的がある場合や公的秩序を保つ必要性があれば、オンライン賭博に対する制限は妥当との見解を示し、制限がこうした目的に合致しているかどうかの判断は各国の裁判所に委ねられるとした。

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今回の判決に対して業界団体の欧州ゲーム・賭博協会(EGBA)は、「司法でインターネットの問題には対応できない」として、欧州委員会がEU全体で消費者保護や詐欺防止を保証する基準を定めるべきだと主張している。これまでもオンライン賭博をめぐっては法廷で争われているが、欧州司法裁は昨年9月にも犯罪防止のためならオンライン賭博を禁じることができるとの判決を下している。

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