2010/6/7

競争法

談合疑惑の仏スエズ子会社、欧州委の調査を妨害か

この記事の要約

欧州委員会は4日、仏公益事業大手GDFスエズの子会社で水道・浄水事業を手掛けるスエズ・アンビロヌマンが、欧州委による競争法上の調査を妨害した可能性があるとして、事実関係の究明に乗り出したことを明らかにした。企業は調査に際 […]

欧州委員会は4日、仏公益事業大手GDFスエズの子会社で水道・浄水事業を手掛けるスエズ・アンビロヌマンが、欧州委による競争法上の調査を妨害した可能性があるとして、事実関係の究明に乗り出したことを明らかにした。企業は調査に際して欧州委に協力する義務があり、証拠隠滅などの目的で不当に妨害したとみなされた場合、制裁金として年間売上高の最大1%に相当する罰金支払いを命じられる可能性がある。

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欧州委は今年4月、フランスで事業展開する水道・浄水会社が地方自治体の公共入札で談合し、価格を吊り上げた疑いがあるとして、スエズ・アンビロヌマンを含む複数の企業への立ち入り調査を実施した。欧州委によると、スエズ・アンビロヌマン傘下のリヨネーズ・デゾーで調査を行った際、同社の社員が押収文書が一時保管されていた部屋の封印を破った。故意または過失によって封印が解かれた場合、欧州委は調査妨害とみなし、企業に制裁を課すことができることになっている。

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スエズ・アンビロヌマンは同日、声明を発表し、リヨネーズ・デゾーの社員は誤って文書が保管されている部屋のドアノブに手をかけ、封印を解いてしまったと弁明。欧州委の調査に全面的に協力していると強調した。また、スエズ・アンビロヌマンのある幹部はAP通信の取材に対し、複数のEU職員が封印が破られた瞬間に立ち会っており、部屋の扉は閉ざされたままだったと証言。調査を妨害する意図はまったくなかったと説明している。

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欧州委は2008年、独エネルギー最大手のエーオンが立ち入り調査を受けた際、証拠隠滅のため封印された部屋に侵入したとして3,800万ユーロの罰金支払いを命じた。また、先月末にはチェコの電力会社J&Tグループに調査妨害の疑いがあるとして、事実関係の調査に着手している。

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