2010/6/7

環境・通信・その他

EUの温暖化ガス排出量、08年は2%減

この記事の要約

欧州環境庁(EEA)が2日発表したEUの2008年の温暖化ガス排出統計によると、加盟27カ国の排出量は前年比で2%減少し、1990年比では11.3%の削減となった。世界的な経済危機に伴う生産の縮小やエネルギー消費量の減少 […]

欧州環境庁(EEA)が2日発表したEUの2008年の温暖化ガス排出統計によると、加盟27カ国の排出量は前年比で2%減少し、1990年比では11.3%の削減となった。世界的な経済危機に伴う生産の縮小やエネルギー消費量の減少が排出量削減につながったとみられる。また、石炭価格の上昇により、電力会社がエネルギー源を安価な天然ガスに一部切り替えたことも排出量の削減に寄与したと分析される。これを受けて、2020年までに90年比でEU全体の排出量を20%削減するとした現行の目標を、30%減にまで引き上げるべきとの意見が強まるという見方が出ている。

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一方、2004年以前に加盟していた15カ国でみると、08年の排出量は前年比で1.9%減少し、5年連続で前年の水準を下回った。08年の15カ国の経済成長率がプラス0.6%と小幅ながら伸びたなかで削減を達成したことになり、低炭素社会の実現に向けた取り組みが成果を上げていることが示された。15カ国は2012年までに排出量を90年比で8%削減するという目標を掲げており、その実現可能性が一段と高まったといえる。

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また、同統計によると、域内でもとくに成長のペースが速い経済分野であると同時に主要な排出減にもなってきた道路輸送の分野において、旧加盟15カ国では排出量が減少した。ただし、2004年と2007年にEUに加盟した12カ国では増加している。EU全体としては、主に製造業、エネルギー部門、一般世帯のエネルギー消費による排出量がそれぞれ減少。エネルギー効率の向上も一役買ったとみられるが、大半は経済危機の影響だと指摘されている。

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