2010/6/21

総合 –EUウオッチャー

加盟国がセルビアとのSAA発効で合意、戦犯逮捕の努力を評価

この記事の要約

EU加盟国は14日にブリュッセルで開いた外相理事会で、セルビアとの「安定化・連合協定(SAA)」を発効させることで合意した。セルビアはEU加盟の前段階となるSAAを2008年に締結したが、ボスニア内戦時の大物戦犯が逃亡中 […]

EU加盟国は14日にブリュッセルで開いた外相理事会で、セルビアとの「安定化・連合協定(SAA)」を発効させることで合意した。セルビアはEU加盟の前段階となるSAAを2008年に締結したが、ボスニア内戦時の大物戦犯が逃亡中であることから協定の正式発効は見送られ、貿易関連を中心とする暫定協定の発効にとどまっていた。今回の決定によりセルビアは悲願のEU加盟へ一歩前進した。

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EUはSAA正式発効について、セルビア政府が戦犯逮捕をめぐり旧ユーゴ国際刑事裁判所(ICTY)に全面的に協力することを条件としていた。ICTYのブラメーツ首席検察官は同日の理事会で、ICTYから訴追されている大物戦犯のうちムラジッチ被告(元セルビア軍司令官)とハジッチ被告(セルビア人勢力元政治指導者)の2人が現在も逃亡しているものの、政府が戦犯逮捕に向けて協力していることを確認。これを受けて加盟国は、これまでSAA発効に反対してきたオランダが態度を軟化させ、発効手続きを進めることで合意した。同協定は加盟各国の議会による批准を経て発効となる。

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セルビアはSAA正式発効に先立ち、昨年12月にEU加盟を正式申請した。しかし、まだ受理されていない。今後は申請受理、加盟候補国認定、加盟交渉開始というステップを踏んでいくことになるが、手続きの進展には2戦犯の逮捕のほか、一方的にセルビアからの独立を宣言したコソボの地位問題といった難問の解決が必要で、加盟への道のりはなお険しそうだ。

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