2010/6/28

競争法

独ウエストLBへの公的支援、欧州委が調査継続

この記事の要約

欧州委員会は22日、独大手州立銀行ウエストLBとオーストリアのヒポ・グループ・アルプ・アドリア(HGAA)に対する公的支援策について、国家補助規定との整合性を精査するための調査を継続する一方、調査終了まで暫定承認を延期す […]

欧州委員会は22日、独大手州立銀行ウエストLBとオーストリアのヒポ・グループ・アルプ・アドリア(HGAA)に対する公的支援策について、国家補助規定との整合性を精査するための調査を継続する一方、調査終了まで暫定承認を延期する方針を明らかにした。欧州委は調査に期限を設けておらず、両行の再建を図るうえで公的支援の規模や方法が妥当かどうかを細かく検証する意向を示している。

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ウエストLBはサブプライム関連の証券化商品への投資などによって巨額の損失を出し、経営危機に陥った。欧州委は昨年5月、リスクの高い証券業務から撤退して銀行業務に専念することを条件に、ウエストLBに対する50億ユーロの公的支援策を承認したが、独政府はその後、同行の経営再建に向けて不良資産の受け皿機関(バッドバンク)を設立するため、新たに総額64億ユーロに上る支援策を打ち出した。これに対して欧州委は昨年12月、バッドバンクの設立自体は金融市場の安定化につながるとして、6カ月の期限付きで同行への追加支援を暫定的に認めたうえで、バッドバンクがウエストLBから買い取る不良資産の規模や評価基準などについて精査する必要があると判断。再建コストの分担方法などと併せて調査を進めていた。

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バッドバンクに移管された不良資産は約770億ユーロ相当に上り、ウエストLBの総資産の3分の1に相当する。欧州委は今回の措置について「当初の見込みより状況が複雑で、審査に多くの時間を要した」と説明。昨年2月にまとめた「金融機関の減損資産の処理に関する指針」に照らして、ウエストLBに対する資金支援の規模が妥当な範囲かどうかに重点を置いてさらに調査を行う方針を示している。

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一方、HGAAはバイエルン州立銀行の子会社だったが、金融危機の影響で経営難に陥り、昨年12月にオーストリア政府から資本増強と政府保証の形で総額6億5,000万ユーロの資金支援を受けて国の管理下に置かれた。欧州委は政府による支援策を暫定的に承認する一方、HGAAに詳細な再建計画を策定するよう指示。同行は金融危機以前は高い成長を続ける東欧市場を中心に拡大戦略をとっていたが、今後は中核市場および事業に経営を集中することを柱とする再建計画を打ち出した。しかし、欧州委は同計画を検証した結果、事業の絞り込みが不十分との見解を示し、一連の措置によって長期的な存続が可能かどうかに重点を置いて引き続き調査を進める方針を明らかにした。

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