2010/7/12

産業・貿易

EU24カ国で新車価格下落、アフターサービスでは競争制限

この記事の要約

欧州委員会が9日発表した自動車価格に関するリポートによると、EU市場における新車の販売価格は2009年に実質ベースで前年の水準を下回り、国による価格差も縮小傾向が続いていることが分かった。一方、保守・点検およびスペア部品 […]

欧州委員会が9日発表した自動車価格に関するリポートによると、EU市場における新車の販売価格は2009年に実質ベースで前年の水準を下回り、国による価格差も縮小傾向が続いていることが分かった。一方、保守・点検およびスペア部品の価格は引き続き上昇しており、アフターサービス市場では依然として競争が制限されている実態が明らかになった。

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EU27カ国における2010年1月時点の新車販売価格(付加価値税や自動車登録税などを含む)は1年前に比べて1.1%上昇したが、物価上昇率を差し引いた実質では0.6%の下落となった。世界的な過剰生産能力とメーカー間の激しい競争が価格に反映された形で、ユーロ圏15カ国では実質ベースで2.1%下落した。

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国別にみると、英国とスウェーデンでは新車価格がそれぞれ7.7%、2.7%上昇したが、これは前年に9.7%減、5.0%減と大幅に下落した反動によるもので、08年1月時点と比べるといずれも実質ベースで下落している。両国とオランダを除いた24カ国で新車価格が前年の水準を下回り、特にスロベニア(13.4%減)、リトアニア(11 .1%減)、スロバキア(11.0%減)など金融危機の影響がより深刻だった中・東欧諸国で大幅な下落となった。これに対し、主要国ではスペインで4.7%減となった以外はイタリア(1.1%減)、ドイツ(1.0%減)、フランス(0.6%減)と、いずれも緩やかな下落にとどまっている。

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EU域内における新車価格の内外格差(最高価格と最低価格の差)は9.8%から8.5%に縮小したが、ユーロ圏では6.0%から6.5%に拡大した。これは新車需要を促すための補助金制度の導入により、一部の国で小型車の需要が大幅に拡大したことが主な要因と考えられる。

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一方、自動車の保守・点検サービスとスペア部品の価格は1.5%(実質ベースで0.7%)前年の水準を上回った。EUではアフターサービス市場における競争を促進するため、今年6月に競争法の一括適用除外に関する規則を改正しており、欧州委は独立系の事業者が参入しやすくなることで今後は保守・点検やスペア部品の価格が下落するとの見方を示している。

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