2010/7/19

産業・貿易

銀行ストレステストは2段階で結果公表、「最大限の透明性」を保証

この記事の要約

EU加盟国は13日の財務相理事会で、域内の銀行に対するストレステスト(健全性審査)について協議し、今月23日に銀行グループごとに審査結果を公表することで合意した。欧州銀行監督委員会(CEBS)が第1弾として連結ベースの審 […]

EU加盟国は13日の財務相理事会で、域内の銀行に対するストレステスト(健全性審査)について協議し、今月23日に銀行グループごとに審査結果を公表することで合意した。欧州銀行監督委員会(CEBS)が第1弾として連結ベースの審査結果をまとめ、約2週間後をめどに海外の子会社を含む各行別の詳細な結果を公表する。ただ、審査結果をどこまで開示するかについては加盟国の間で意見が分かれており、公表直前まで調整が続けられる見通しだ。

\

金融機関に対するストレステストは経営環境が悪化した場合の余力を審査し、資本増強が必要かどうか判断するためのもので、余剰金や普通株などを中心とした中核的自己資本(Tier1)が判断基準となる。CEBSは現在、EU内で活動する91の銀行を対象に審査を実施しており、これは域内銀行の保有資産の約65%をカバーする。当初は域内の複数の国で活動する大手26行がストレステストの対象としてリストアップされていたが、ギリシャの財政危機をきっかけに広がった信用不安を取り除くには欧州銀行システム全体についての透明性確保が不可欠との判断に立ち、経営基盤が弱いとみられる中堅以下の銀行も審査対象となった。

\

EU議長国ベルギーのレインデルス財務相は会議後の記者会見で「われわれは最大限の透明性を望んでいる。すべての数字を同時に公表するための調整が必要なだけだ」と指摘。一部の銀行で自己資本不足が判明した場合も情報をすべて開示する意向を表明した。また、欧州委員会のレーン委員(経済・通貨担当)も「透明性が不可欠との認識で全加盟国が一致している。(ストレステストを通じて)欧州の銀行システムの健全性が証明されると確信している」と述べた。

\

レーン委員によると、審査の結果、自己資本不足が判明した銀行に対しては、まず自力での増資を求める。公募などで十分な自己資本が確保できなければ第2段階として各国政府が公的資金を注入。それでも不十分な場合は最終手段としてEUが支援に乗り出す。ユーロ導入国が財政危機に陥った場合に備えた最大7,500億ユーロの緊急融資制度のうち、国際通貨基金(IMF)からの融資分を除いた最大5,000億ユーロのEU基金の一部を活用する。レーン委員は「緊急融資制度を活用する事態にはならないと信じているが、万一に備えたオプションとしてEU基金の活用も可能にする」と説明している。

\