2010/7/19

競争法

BA・イベリアなど3社の提携を承認、離発着権の一部譲渡などが条件

この記事の要約

欧州委員会は14日、英ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)とスペインのイベリア航空の合併計画を承認するとともに、両社と米アメリカン航空の3社が計画している大西洋路線の業務提携についても是正策の実行を条件に認めた。BAによ […]

欧州委員会は14日、英ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)とスペインのイベリア航空の合併計画を承認するとともに、両社と米アメリカン航空の3社が計画している大西洋路線の業務提携についても是正策の実行を条件に認めた。BAによれば米当局も3社の提携についてまもなく結論を下す予定で、承認されれば今秋にも提携を推進する。

\

欧州委はBAとイベリア航空の統合が競争に及ぼす影響について、特にロンドンとマドリッドおよびバルセロナを結ぶ旅客便を中心に調べたところ、合併後も引き続き他社との競争にさらされ利用客にも十分な選択肢があることが判明した。両社で重複する経由便や貨物便、地上取扱業務でも厳しい競争が続くことが分かったうえ、整備・修理・オーバーホール(MRO)の市場には大きな影響がないことも確認できたことから、統合に競争上の懸念はないと判断した。

\

一方、航空連合「ワンワールド」に加盟する3社の業務提携は当初、2008年8月に結ばれたが、欧州委は競争を阻害するとして昨年9月に異議告知書を送付した。これに対して3社は今年3月、ロンドンとニューヨーク、ボストン、ダラス、マイアミを結ぶ路線でロンドンのヒースロー空港またはガトウィック空港の離発着権の一部を手放すことを提案。特にロンドン~ニューヨーク線では、ニューヨークのジョン・F・ケネディ空港の離発着権の一部も他社に譲る案を提示した。また、3社のマイレージ会員がこれらの路線に新規参入した航空会社を利用した場合もポイントを加算することに加え、他社の便とワンワールドの便の接続を改善し、他社が自社便と接続するワンワールドの便の航空券を一括で販売できるようにした。

\

欧州委は、こうした是正案によって競争上の懸念は払しょくされると判断した。欧州委のアルムニア委員(競争政策担当)は、「大西洋路線を利用する年間およそ250万人の乗客は、引き続き選択肢の広い便数や航空運賃低下の恩恵を受ける」と指摘している。欧州委は以前にBAとアメリカン航空の大西洋路線の提携を阻止した経緯があるが、アルムニア委員はEUと米国のオープンスカイ協定締結により市場は根本的に変わったと説明している。

\

なお、是正案は10年間にわたり法的拘束力があり、実施状況について欧州委が指名した管理人が監視する。約束を破った場合には全世界の年間売上高の最大10%に相当する制裁金を科せられる。5年後にはこの提案について見直しも行う予定だ。

\

ただ、英ヴァージン・アトランティック航空は是正措置を不十分として、欧州委の決定を「恥ずべきこと」と批判。一方、オンライン旅行業者からは提携により航空運賃は引き下げられ、接続が改善しサービスが向上する可能性があるとの声が出ている。

\

米運輸省は今年2月、3社の大西洋路線の提携について暫定的に競争法の対象から除外することを承認している。また、同省はすでにルフトハンザ航空やユナイテッド航空が加盟する航空連合「スターアライアンス」とエアフランスやデルタ航空が加盟する「スカイチーム」について、競争法の規制から除外することを認めている。

\