国際司法裁判所(ICJ)は22日、セルビアからの独立を一方的に宣言したコソボは「国際法に違反していない」とする判断を下した。これを受けてEUのアシュトン外交安全保障上級代表(EU外相)は、EU加盟を目指す両国に対して、対話を仲介する用意があることを明らかにした。
\コソボは08年2月、セルビアの反対を押し切って一方的に独立を宣言した。これまでに日米など69カ国が独立を承認した。これに対して、コソボは歴史的に領土の一部と主張するセルビアが猛反発。国連はセルビアの要請に基づいて、08年に同問題に関する勧告的意見を求めていた。
\ICJの小和田恒裁判長は、国際法では「独立宣言を禁止していない」として、「コソボの独立宣言は国際法に違反していない」とする見解を示した。
\同判断は勧告であり、法的拘束力はないが、コソボは事実上、国家として承認された格好で、独立を認めていない国の多くが承認に動く可能性がある。悲願のEU加盟に向けて一歩前進した格好だ。ただ、EU内でも27カ国のうち国内に民族問題を抱えるスペイン、ギリシャ、ルーマニア、キプロス、スロバキアの5カ国が独立を承認しておらず、加盟手続きのスタートラインに立つには、同5カ国の独立支持を取り付ける必要がある。このうち、バスク独立問題を抱えるスペインは、デラベガ副首相が23日の記者会見で「我が国は今後もコソボ独立を認めない立場を維持する」と宣言しており、問題の長期化をうかがわせた。
\一方、昨年末にEU加盟を申請したセルビアにとっても、コソボの地位問題解決は不可欠。EUは加盟と同問題を切り離し、加盟手続きを進める方針だが、正式加盟するまでに解決しなければならない。
\EUのアシュトン外相は、ICJの判断を歓迎した上で、コソボ問題は「新しい局面に入った。いまや未来に目を向けなければならない」と述べ、両国のEU加盟実現に向けて「対話を促進する用意がある」と表明した。ただ、セルビアのタディッチ大統領は今後も「コソボの一方的な独立を認めるつもりは絶対にない」と強硬姿勢を崩していない。
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