2010/7/26

競争法

赤字炭鉱の公的支援を段階的中止へ、加盟国は補助金打ち切り義務

この記事の要約

欧州委員会は20日、加盟国政府に赤字経営の炭鉱に対する公的支援を段階的に減らし、2014年10月1日までに閉鎖するよう義務付ける規則案を採択した。これは今年末で期限を迎える炭鉱への公的支援に関する現行規則に代わるもので、 […]

欧州委員会は20日、加盟国政府に赤字経営の炭鉱に対する公的支援を段階的に減らし、2014年10月1日までに閉鎖するよう義務付ける規則案を採択した。これは今年末で期限を迎える炭鉱への公的支援に関する現行規則に代わるもので、各国の合意を経て来年1月から施行される。ただし黒字経営の炭鉱に影響はない。

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規則案では公的支援は閉山計画を進める炭鉱だけが対象となり、補助金の支給は炭鉱労働者の再訓練や閉鎖準備に限定し運営費に振り向けることを禁じる。金額も15カ月間ごとに33%以上ずつ段階的に減らしていく。影響が最も大きいのは補助金への依存が高いドイツのルール地方やスペイン北西部、ルーマニアのジウ川流域で、ポーランドやハンガリー、スロバキアの炭鉱も一部に影響が出る可能性がある。炭鉱への公的支援は域内全体で2008年に29億ユーロに上ったが、2003年の64億ユーロに比べると半分未満に減っている。

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石炭を火力発電の主要な燃料としている加盟国は依然として多く、ほぼ全量を石炭に頼るポーランドをはじめ、ドイツで発電量の40%、スペインで25%が石炭を燃料としている。欧州では約4万2,000人が炭鉱で働き、関連産業の就労者を含めると約10万人に上る。しかし、EUでは温室効果ガスの排出削減の一環として2020年までに全エネルギーの20%を水力や太陽光、風力、バイオマスといった再生可能エネルギーでまかなう目標を掲げており、石炭は大気汚染の原因となり温室効果ガスの排出量が多いことから今回の規則案は天然ガスや再生可能エネルギー源への転換促進も狙っている。

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