2010/8/2

産業・貿易

GMトウモロコシ6品種、欧州委が輸入認可

この記事の要約

欧州委員会は7月28日、遺伝子組み換え(GM)トウモロコシ6品種の輸入を認可したと発表した。いずれもGM作物であることを明示したラベル表示や、生産から販売に至る全段階の流通経路に関する記録の保管などを条件に、食用および飼 […]

欧州委員会は7月28日、遺伝子組み換え(GM)トウモロコシ6品種の輸入を認可したと発表した。いずれもGM作物であることを明示したラベル表示や、生産から販売に至る全段階の流通経路に関する記録の保管などを条件に、食用および飼料用として向こう10年間にわたりEU域内での販売が認められる。EU加盟国は6月の農相理事会で6品種について認可の是非を協議したが、意見が分かれて最後まで調整がつかず、規定により欧州委に最終判断が委ねられていた。

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認可されたGMトウモロコシのうち、スイスの農業化学大手シンジェンタが開発した害虫耐性の「Bt11」は2007年にいったん認可が期限切れとなり、今回改めて輸入が認められた。新たに認可された他の5品種はいずれも害虫耐性と除草剤耐性の形質を併せ持つ「スタック品種」で、内訳は米化学大手デュポン傘下のパイオニア・ハイブレッド・インターナショナルと米ダウ・ケミカル傘下のマイコジェン・シードが共同開発した2品種、米モンサントの2品種、シンジェンタの1品種となっている。

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欧州委は「6品種は欧州食品安全庁(EFSA)の審査で科学的に安全性が確認されており、EUルールに基づくすべての認可基準を満たしている」と説明している。ただ、いずれもEU域内での栽培は認められない。

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EU内では依然としてGM作物に対する評価が分かれており、スペインや英国をはじめとする推進派とフランスを中心とする反対派の対立が続いている。欧州委はこうした現状を踏まえ、7月半ばにGM作物の栽培を認めるか否かの判断をEU各国に委ねる方針を打ち出した。厳格な安全性評価に基づくGM作物の認可制度は維持したうえで、 EUが科学的に安全と認定した品種に関しても、加盟国が独自に国内での栽培を禁止または制限できるようにするという内容。欧州委のウェイト報道官は会見で「先に認可制度の変更を提案した理由は、現在の行き詰まりを打開してGM作物の支持派と反対派の溝を埋めることにある」と述べた。

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