欧州委員会は3日、米テクノロジー企業のハネウェルが安全防護具を手がける仏スペリアンを買収する計画を承認した。競争を大きく阻害する懸念がないため。
\ハネウェルは、様々な産業分野の従業員が放射線や化学物質、機械、電気などによるケガや疾病から身体を守るために利用する個人用防護具も生産・販売している。一方のスペリアンは頭部や身体の保護を専門とする個人用防護具のメーカー。ハネウェルはスペリアンを14億ドルで買収することで合意していた。
\欧州委員会は個人用防護具の中でも特に落下防止機器、マスクのように固形物や噴霧・ガス、ウイルスや微生物から呼吸器を守る用具、ヘルメットやバイザーなど頭部や目、顔の防護具、騒音から耳を守るイヤーマフや耳栓など両社が欧州内で重複する事業分野を中心に調べた。その結果、両社が力を入れている地域は地理的に異なるうえ重複する防護具も限られていた。また、統合しても多くの競合会社との競争にさらされ、顧客にも引き続き数多くの選択肢があることが判明した。
\両社は個人用防護具のほかに携帯ガス検知器も手がけている。これは中毒や窒息、爆破などの危害を未然に防ぐため有害ガスや可燃性ガスを監視するものだが、スペリアンのこの分野における展開は限られているうえ欧州内には競合会社も多く、買収後も競争上で大きな違いはないことがわかった。さらにハネウェルはガス検知器メーカーに製品を供給しているためスペリアンとの垂直関係による統合の弊害も調べたが、スペリアンのガス検知器の購入量は少なく同機器でのシェアも低いことから、今回の取引に競争上の問題はないと結論付けた。
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