欧州司法裁判所は2日、欧州物流郵便最大手ドイツポストが独政府から支給された補助金を不当な目的に使用したとして、5億7,200万ユーロに利子を加えて返納を命じた欧州委員会の決定を無効とする判断を下した。2008年の第一審裁判所(現・一般裁判所)の判決を全面的に支持したもので、ドイツポストは利子を含めて政府に返還していた11億5,000万ユーロを回収できることになった。
\ドイツポストに対する政府の補助金は、1990年代に郵便市場の自由化を推進する中で、国内のすべての地域で一定水準の基本的サービスを提供することを義務付けるため、それに伴う費用負担として支給された。これはEUの公的支援のルールに沿ったもの。しかし2002年に米宅配大手UPSなどは、ドイツポストが補助金を宅配事業に充当して宅配サービスの料金を引き下げているのは不当であるとして欧州委に苦情を申し立てた。欧州委はこれを認めてドイツポストへの公的支援は不公正であるとして補助金の返納を求め、ドイツポストは補助金を返還するとともに第一審裁判所に提訴した。
\第一審裁は2008年、ドイツポストが補助金を流用したことを裏付ける証拠を欧州委は示していないとして、欧州委の判断には正当な根拠がないとの見解を示したが、欧州委はこれを不服として欧州司法裁に控訴していた。欧州司法裁は今回、第一審裁と同様に欧州委が違法な補助金と認定した判断には不備があったとして、欧州委の主張を退けた。
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