2010/9/20

欧州ビジネスウオッチ

ドイツ銀が100億ユーロ増資、ポストバンク買収などに投入

この記事の要約

独最大手銀行のドイツ銀行は12日、最低98億ユーロの増資を実施すると発表した。増資規模はドイツテレコムが1999年に実施した108億ユーロに次ぐドイツ史上2番目の大きさ。市場資金をリテール銀行大手ポストバンクの買収と自己 […]

独最大手銀行のドイツ銀行は12日、最低98億ユーロの増資を実施すると発表した。増資規模はドイツテレコムが1999年に実施した108億ユーロに次ぐドイツ史上2番目の大きさ。市場資金をリテール銀行大手ポストバンクの買収と自己資本の強化に充てる。増資・買収計画の詳細は近日中に明らかにする予定だ。

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ドイツ銀行は2009年2月にポストバンク株22.9%を同行の親会社だったドイツポストから譲り受けて資本参加。その後、同株を市場で買い増し現在は29.95%を保有する。従来の計画ではドイツポストが手元に残した39.5%のうち27.4%を2012年2月に1株45ユーロの契約価格で取得し、その後、他の株主に対し同じ条件(1株45ユーロ)で株式公開買い付け(TOB)を実施する予定だった。

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ドイツ銀行は今回、ポストバンク買収を前倒し、買収手続きを年内にも終了する意向を打ち出した。背景にはポストバンクの株価が低迷している現時点で買収した方が得策という事情がある。TOB価格は過去3カ月間の平均株価をもとに最終決定する方針で、ドイツ銀行は1株24~25ユーロとの見通しを示した。ポストバンクは時価が低下しているため、ドイツ銀行は買収後、ポストバンク株の減損処理と大規模な資本注入を実施する。これに伴い今年7-9月期(第3四半期)決算の利益は24億ユーロ押し下げられる見通しだ。

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ドイツ銀行が増資を行うのは主要国の金融監督当局で構成するバーゼル銀行監督委員会が12日に合意した新しい自己資本規制「バーゼル3」に対応するためで、同行は新株を今月下旬にも1株31.80ユーロ(暫定額)で発行する。これは10日の終値(47.70ユーロ)を3分の1下回っており、ドイツ銀行が目標額を調達できるのは確実視されている。既存株主は保有する2株につき新株1株を優先的に引き受けることができる。

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