2010/10/4

環境・通信・その他

電力の8割を再可エネに、独の長期エネルギー構想が閣議承認

この記事の要約

ドイツ政府は9月28日の閣議で、今後40年間のエネルギー構想を了承した。国内エネルギー・電力消費の大部分を再生可能エネルギーに切り替えていくというのが同構想の目標。再可エネを低価格で安定供給する体制を構築するには時間がか […]

ドイツ政府は9月28日の閣議で、今後40年間のエネルギー構想を了承した。国内エネルギー・電力消費の大部分を再生可能エネルギーに切り替えていくというのが同構想の目標。再可エネを低価格で安定供給する体制を構築するには時間がかかるため、原発の稼働期間は平均12年、延長する意向だ。

\

政府は電力消費に占める再可エネの割合を2050年までに09年の16.3%から80%に引き上げ、一次エネルギーに占める同割合も60%へと拡大する方針。ただ、風力や太陽光発電は発電量が天候に大きく左右されるため、電力を安定供給するには送電・蓄電技術を向上させる必要がある。また、発電コストを引き下げないと採算が合わないという事情もあるため、政府は原発の稼働期間を1980年までに設置された旧型炉で8年、81年以降の新型炉で14年延長する方針を打ち出した。

\

稼働延長が実現すると、国内原発4社には総額で500億ユーロもの余剰利益がもたらされる。政府はそのおよそ60%を核燃料税と新設する再可エネ普及促進基金の分担金として4社から徴収。財政再建と再可エネの促進に充てる意向だ。

\

財政再建の資金となるのは核燃料税で2011~16年の6年間に計138億ユーロを徴収する。また、再可エネ普及促進基金の徴収総額は169億ユーロを見込む。

\

再可エネに適した送電網の構築に向けては送電網事業者の投資を誘発する制度を今後、検討する。また、蓄電技術の確立に向けては研究開発を資金面から支援していく意向だ。

\

政府は国内エネルギー消費の40%を占める家屋やビルなどの建築物の省エネも促進する方針で、断熱材やエネルギー効率のよい暖房の導入には引き続き補助金を給付していく。新築では2020年までにカーボンニュートラルを実現、既存の建造物についても2050年までに一次エネルギー消費量を80%引き下げる。

\