2010/10/25

産業・貿易

財務相理がファンド規制案で合意、域外ファンドにも「パスポート」を

この記事の要約

EU加盟国は19日、ルクセンブルクで開いた財務相理事会で、ヘッジファンドなど投資ファンドに対する規制案の内容で合意した。EU加盟国のうち1カ国で認可を取得すれば、域内全域で活動することができる「パスポート制度」を導入し、 […]

EU加盟国は19日、ルクセンブルクで開いた財務相理事会で、ヘッジファンドなど投資ファンドに対する規制案の内容で合意した。EU加盟国のうち1カ国で認可を取得すれば、域内全域で活動することができる「パスポート制度」を導入し、EUの定める要件を満たすことを条件に、域外に籍を置くファンドにも同制度を適用することが柱。欧州議会は11月初旬の本会議で採決を行う見通しで、年内にも法案が成立する可能性が高まった。

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規制案によると、ヘッジファンドや未公開株式を投資対象とするプライベート・エクイティ・ファンドなどを対象に、金融当局による認可制を導入し、投資方針や運用手法、リスク管理システムなどの情報開示を義務付ける。また、自己資本規制を導入し、資産規模に応じて資本金の積み増しを義務付けることや、当局に投機性の高いファンドの運用を制限できる権限を与えることなども盛り込んでいる。

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EU加盟国は当初、域外のファンドにはパスポート制度を適用しない方針だったが、欧州で活動するヘッジファンドの80%が集中する英国は厳格な規制に反対の立場で、米政府も第3国のファンドが国ごとに当局の認可を取らなければならないシステムは「差別的」と批判を強めていた。

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一方、フランスは投資家保護の観点から、安易に域外のファンドにEU市場へのアクセスを認めるべきではないと主張し、パスポート付与に最後まで反対していたが、最終的に認可の条件を厳格化することで妥協が成立した。財務相理では英国の反対を抑え、来年1月に新設される欧州証券監督機構(ESMA)に域外のファンドがEU基準を満たしているかどうか判断する権限を与えることで合意したもよう。パスポート制度の導入時期は域内ファンドが2013年、域外ファンドは15年になる見通しで、移行期間として18年までは各国当局が国ごとに認可を与える現行システムが併用される。

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EU議長国ベルギーのレインデルス財務相は会議後の記者会見で「ヘッジファンドを対象とする欧州レベルの監督体制が初めて整備される」と強調。欧州委員会のバルニエ委員(域内市場・サービス担当)は「透明性を高めるための強固で明確なルールに差別はない」とつけ加えた。

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