2010/10/25

産業・貿易

スペインの私的複製補償金制度は「違法」、法人による使用は対象外に

この記事の要約

欧州司法裁判所は21日、デジタル方式の記録媒体や機器を使用した著作物の私的複製に対する補償金制度について、対象機器の利用者が個人か法人かを区別せず、一律に補償金の支払い義務を課しているスペインの現行制度はEU法に抵触する […]

欧州司法裁判所は21日、デジタル方式の記録媒体や機器を使用した著作物の私的複製に対する補償金制度について、対象機器の利用者が個人か法人かを区別せず、一律に補償金の支払い義務を課しているスペインの現行制度はEU法に抵触するとの判決を言い渡した。裁判所は法人が業務目的で購入した複写機やファクスなどが著作物の「私的複製」に使用されるとは考えにくいと指摘。企業などが使用するオフィス機器は補償金制度の対象から除外すべきだと結論づけた。

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2001年のEU著作権指令は権利者に「公正な補償金」を支払うことを条件に、著作物の私的な使用を目的とした録音や録画を認めている。加盟国は同規定に沿って私的複製補償金制度を整備しており、スペインでも幅広いデジタル機器を対象に、販売価格に一定の金額を上乗せするシステムが導入されている。今回の事案は書き込み用 DVD、CD、MP3などを販売するパダワン(PADAWAN)が2002-04年にかけて補償金の支払いを拒否したとして、スペイン作家協会(SGAE)がスペインで訴えを起こしたもの。一審判決はパダワンに約1万7,000ユーロの支払いを命じたが、同社は利用者が法人か個人かを区別せず「無差別」に補償金を賦課するシステムはEU法に違反するとして上訴。バルセロナ地裁がこの点についてEU司法裁に判断を求めていた。

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裁判所は判決で、補償金制度の対象となる機器や媒体が著作物の「私的複製に使用されると考えられるケースに限り」、適正な範囲で補償金を賦課することができると指摘。「自然人以外の人」が「明らかに私的複製とは別の目的で」購入した機器や媒体に関しては、補償金制度の対象から除外すべきだと結論づけた。スペインの裁判所は今回の判決を踏まえ、改めてSGAEとパダワンの事案を審理することになる。

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