2010/11/1

総合 –EUウオッチャー

ユーロ参加国救済基金の常設で合意、基本条約も改正へ=EU首脳会議

この記事の要約

EU加盟国は10月28日にブリュッセルで開いた首脳会議で、財政危機に陥ったユーロ参加国に緊急金融支援を行う恒久的な制度を設けることで合意した。ギリシャ危機の再発防止に向け、セーフティネットの確立が必要と判断したもので、2 […]

EU加盟国は10月28日にブリュッセルで開いた首脳会議で、財政危機に陥ったユーロ参加国に緊急金融支援を行う恒久的な制度を設けることで合意した。ギリシャ危機の再発防止に向け、セーフティネットの確立が必要と判断したもので、2013年半ばまでの創設を目指す。また、同構想の実現に向け、EU基本条約を改正することでも合意した。

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EUは5月、ギリシャ危機が波及して深刻な資金難に陥った国への緊急支援策として、国際通貨基金(IMF)と共同で7,500億ユーロの融資を行う制度の創設を決めた。しかし、これは期間3年間の限定措置であるため、将来発生するユーロ圏の信用危機に備えて「EU版IMF」のような恒久的な基金を設置することが検討されていた。

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EU基本条約の改正は、昨年末に発効した現行の基本条約「リスボン条約」ではユーロ参加国間の直接救済が禁じられていることを受けたもの。ドイツとフランスが条約改正の必要性を唱え、今回の首脳会議の重要議題となっていた。

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首脳会議では、リスボン条約が発効したばかりで、しかも大規模な改定は批准手続きに時間がかかるため、小幅の修正でとどめることで合意した。具体案はファンロンパイEU大統領がとりまとめ、12月の首脳会議に報告書を提出する。また、恒久的な基金の創設については、欧州委員会が同じく12月までに具体案をまとめる。

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財政規律違反への制裁強化でも合意

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今回の首脳会議では、EUの財政規律に違反した国への制裁強化策でも合意した。10月中旬の財務相理事会での合意を踏襲したもので、財政規律を定めた安定成長協定を厳格に適用し、違反国に対する制裁を発動しやすくする。

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違反国への制裁をめぐっては、ドイツがEUの政策決定における投票権のはく奪という厳しい措置を含めるよう求め、それを可能にするためのEU基本条約の改定も提案していた。しかし、欧州委のバローゾ委員長が「非現実的で受け入れられない」と反発したほか、多くの国も不支持に回り、採択されなかった。

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