2010/10/25

環境・通信・その他

仏政府のロマ送還で法的措置見送り、国内法是正を了承=欧州委

この記事の要約

欧州委員会は19日、フランス政府による少数民族ロマの国外送還が域内における「移動の自由」を定めたEU法に抵触する問題について、法的措置を見送ると明らかにした。フランス政府が国内法を是正することを約束したため。ただし欧州委 […]

欧州委員会は19日、フランス政府による少数民族ロマの国外送還が域内における「移動の自由」を定めたEU法に抵触する問題について、法的措置を見送ると明らかにした。フランス政府が国内法を是正することを約束したため。ただし欧州委は、同政府のロマに対する差別的扱いについては調査を続ける方針で、法的措置に発展する可能性もある。

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欧州委は、フランスの国内法が人の自由の移動を定めた2004年のEU指令を十分に反映していないとして国内法の是正を求め、10月15日までに関連法の修正案と作業日程を提出しなかった場合には欧州司法裁判所に提訴すると警告していた。フランス政府は当初、国内法は移住者の権利を保証しているとして修正に消極的だったが、15日に透明性と法の確実性を強化するため欧州委の要請に従う意向を表明。国内法に移住者の国外送還についての手続きを明示した条項を加え、送還は対象となる各人の行為だけに基づくことを明示することにした。

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フランス政府の対応について欧州委のレディング委員(司法・基本権・市民権担当)は歓迎の意を示すとともに、「EUで法の支配が機能していることを示すもの」と強調している。しかしロマの送還をめぐっては、フランス内務省が警察当局にロマの違法キャンプを優先的に撤去するよう命じた文書が発覚しており、少数民族に対する差別を禁止したEU法への順守の問題も出ている。フランス政府はロマへの差別を否定しており、欧州委もこれについて法的措置までは言及していないもののレディング委員は調査を続ける意向だ。

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