2010/11/1

総合 –EUウオッチャー

仏の年金改革が可決、労組側抵抗続もスト収束へ

この記事の要約

フランス国民議会(下院)は10月27日、年金の支給開始年齢を現行の60歳から62歳に、満額支給年齢を65歳から67歳に段階的に引き上げることを柱とする年金改革法案を賛成336、反対233で可決した。すでに上院は承認してお […]

フランス国民議会(下院)は10月27日、年金の支給開始年齢を現行の60歳から62歳に、満額支給年齢を65歳から67歳に段階的に引き上げることを柱とする年金改革法案を賛成336、反対233で可決した。すでに上院は承認しており、サルコジ大統領の署名を経て11月半ばに官報で公布される予定となっている。これにより9月から2カ月にわたって続いていたストライキなどの抗議行動は山を越えそうだ。

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法案はいったん上下両院で可決されていたが、修正を加えたため再度採決が行われた。憲法評議会での承認が必要となるものの、覆ることはないもようだ。野党・社会党は法案が低所得者にとって不利になるとして反対しており、憲法裁判所に法案の合憲性について審査を求める方針を表明。同党のオブリ党首は、民主的な議論を打ち切って議会の手続きを乱用したとして政府に対する批判を展開している。

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労組側は抵抗を続けており、28日もフランス労働総同盟(CGT)などの呼びかけでストライキが実施されたものの、鉄道はほぼ平常運行に戻っており航空便の欠航も30~50%程度にとどまった。国内にある12カ所の石油精製施設のうち半分はフル稼働に戻りガソリン不足も緩和してきた。フランスでは学校が学期途中の休暇期間に入ったこともあり、政府は抗議活動の勢いが衰えていくと見ている。ただ労組側は、中国の胡錦涛主席の訪仏に合わせて11月6日にもストを実施する構えだ。

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フランスでは2060年には人口のうち3人に1人が60歳以上になると見込まれており、サルコジ大統領は年金制度の赤字縮小には改革が欠かせないと主張してきた。しかし同大統領の支持率は30%未満にまで落ち込んでおり、今後は労組側との関係修復に乗り出すことになりそうだ。

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