2010/11/8

産業・貿易

ソブリン債格付け変更に3日前通知の義務、欧州委が格付け規制強化

この記事の要約

欧州委員会は5日、格付け会社に対する規制を強化する方針を発表した。各国政府が発行するソブリン債(国債や政府機関債)の格付けを変更する際、3日前までに各国政府への通知を義務づけることなどを提案している。EUでは金融危機を受 […]

欧州委員会は5日、格付け会社に対する規制を強化する方針を発表した。各国政府が発行するソブリン債(国債や政府機関債)の格付けを変更する際、3日前までに各国政府への通知を義務づけることなどを提案している。EUでは金融危機を受けた規制改革の一環として、域内で活動する格付け会社に対し、監督当局への登録や格付け手法などの情報開示を義務付けるルールが12月7日付で導入されるが、今年4月のギリシャ国債の格下げをきっかけに金融市場の混乱が深まったとの分析に基づき、透明性確保に向けてさらに厳しい規制が必要と判断した。2011年1月7日まで意見募集を行い、各方面からの反応を踏まえて来年中に規制案をまとめる。

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ソブリン債の格下げは借り入れコストを大幅に押し上げる結果につながるため、格付けは当該国にとって極めて重大な意味を持つ。欧州委のバルニエ委員(域内市場・サービス担当)は「金融危機からあらゆることを学ぶ必要がある。EUでは間もなく格付け会社に対する監督体制を強化し、格付けの透明性を高めるための規制が導入されるが、第2段階として格付けの役割と金融市場に及ぼす影響を詳しく検証する必要がある」と指摘。金融システムの安定化を図るうえで必要な追加的措置を講じる考えを示した。

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欧州委は格付けの透明性を高めるための具体策として、ソブリン債の格付けを変更する際に各国政府に通知するタイミングを、現在の12時間前から72時間前に前倒しすることを提案している。これは格付けの判断材料に事実誤認が含まれていないかなどを当該国がチェックできるようにするのが狙い。また、現在はソブリン債の格付けにあたり、プレスリリースなどで判断の根拠について要点を説明すればよいことになっているが、欧州委は調査報告書の完全な開示を義務づける方針を示している。さらに不適切な格付けが原因で損害が生じた場合、投資家が格付け会社を提訴して民事責任を追及できる仕組みを導入することなども提案している。

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