2010/11/8

産業・貿易

アルストムがEUに苦情申し立て、ユーロスター新車両発注めぐり

この記事の要約

欧州委員会は4日、英国と仏・ベルギーを結ぶ国際列車運行会社ユーロスターによる新車両の発注をめぐり、仏エンジニアリング大手アルストムから苦情の申し立てがあり、英国政府の調達手続きについて書簡を送って問い合わせていることを明 […]

欧州委員会は4日、英国と仏・ベルギーを結ぶ国際列車運行会社ユーロスターによる新車両の発注をめぐり、仏エンジニアリング大手アルストムから苦情の申し立てがあり、英国政府の調達手続きについて書簡を送って問い合わせていることを明らかにした。今のところ正式な調査に着手するかどうかは不明という。

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ユーロスターは7億ポンドに上る新型車両への投資の一環として、10月初めに独エンジニアリング大手シーメンスに車両10編成を発注すると決めた。ユーロスターの筆頭株主はフランス国鉄SNCFで、これまではアルストムが車両を供給しており、SNCFの関連会社がアルストム以外のメーカーに車両を発注するのは初めて。

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アルストムはユーロスターが安全基準を満たしていない車両の供給を求めてきたと説明。フランス政府もシーメンスの車両は安全基準に反しているとして、今回の取引の無効を主張している。アルストムは英高等裁判所に発注の差し止めを求めたものの却下されていた。英高等裁判所に対して同社は、車両の評価手続きや技術仕様に懸念を示しユーロスターは公的調達ルールに違反していると主張したが、同裁判所はアルストムの申し立ての根拠が希薄なうえ同社の入札手続きに不備があるとの判断を示している。

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今回の件で欧州委に可能な対応は、EUの公的調達ルールに英国が違反しているかという点に絞られるという。欧州委は先月、アルストムからの情報を検討したもののユーロスターがシーメンスを選んだことに問題は見つからないとの見解を表明しており、英仏海峡トンネルにからむ安全基準の問題はその運営を監督する英仏政府間委員会(IGC)の管轄でありEUの管轄外との見方をしているとされる。

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