2010/11/8

競争法

欧州委、独ウェストLBへの調査継続 公的支援「過剰な補助」

この記事の要約

欧州委員会は5日、独大手州立銀行ウェストLBに対する公的支援策について、国家補助規定との整合性を精査するための調査を継続する方針を明らかにした。経営再建に向けて不良資産を受け皿機関(バッドバンク)に移管する際に受けた公的 […]

欧州委員会は5日、独大手州立銀行ウェストLBに対する公的支援策について、国家補助規定との整合性を精査するための調査を継続する方針を明らかにした。経営再建に向けて不良資産を受け皿機関(バッドバンク)に移管する際に受けた公的支援について検証した結果、対象となった資産の価値が実際より高く見積もられていたことが判明。これによりウェストLBは当初の想定を34億ユーロ上回る補助金を受けたと指摘している。欧州委はドイツ政府に対し、バッドバンクに関連した補助金を正当化する新たな再建計画を提出するか、ウェストLBに超過分の返還を要求するよう求めている。

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ウェストLBはサブプライム関連の証券化商品への投資などによって巨額の損失を出し、経営危機に陥った。欧州委は昨年5月、リスクの高い証券業務から撤退して銀行業務に専念することなどを条件に、ウェストLBに対する50億ユーロの公的支援策を承認したが、独政府はその後、同行の総資産のおよそ30%に相当する約770億ユーロの不良資産をバッドバンクに移管する構想を打ち出し、金融市場安定化基金(Soffin)を通じた30億ユーロの資本注入を計画。欧州委は昨年12月、バッドバンクの構想自体は金融市場の安定化につながるとの判断から、同行への追加支援を暫定的に承認。そのうえで、バッドバンクがウェストLBから買い取る不良資産の規模や評価基準などについて精査する必要があるとして、本格調査を進めていた。

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欧州委によると、バッドバンクに移管された不良資産の価値が実際より高く評価された結果、ウェストLBに対する補助金は実質的に総額69億5,000万ユーロに達した。このうち32億6,700万ユーロはSoffinの持ち株となり、2億6,800万ユーロは不良資産とセットで移管された負債とみられることから、欧州委は残る34億1,400万ユーロが「想定外」の補助金にあたると指摘している。

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一方、欧州委はウェストLBの再建プロセスに関連して、第1弾の公的支援を承認する際に条件とした非中核事業の売却が進んでおらず、いまだにリスクの高い不安定な事業への依存度が高いと指摘。「存続への懸念が強まっている」と警告している。同委のアルムニア副委員長(競争政策担当)は会見で、ウェストLBが現在のビジネスモデルを維持するにはさらなる公的支援が必要になる公算が大きいとの見方を示し、「段階的縮小の可能性が高まっている」と警告した。

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ウェストLBをめぐっては、今月4日にバイエルン州立銀行との合併交渉が決裂。再建計画に暗雲が漂っている。

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