2010/11/8

環境・通信・その他

放射性廃棄物の地下貯蔵義務化へ、最終処分に関する法案が発表

この記事の要約

欧州委員会は3日、原子力発電所などから出る放射性廃棄物の最終処分に関するEU共通ルールを定めた指令案を発表した。放射性廃棄物のEU域外への搬出を禁止し、最終処分として地下深くに埋めることを義務づけるなどを柱とする内容。加 […]

欧州委員会は3日、原子力発電所などから出る放射性廃棄物の最終処分に関するEU共通ルールを定めた指令案を発表した。放射性廃棄物のEU域外への搬出を禁止し、最終処分として地下深くに埋めることを義務づけるなどを柱とする内容。加盟国に対し、法案成立から4年以内に最終処分場の建設や運用について具体的な計画をまとめるよう求めている。加盟国の承認を経て、来年にも指令案が発効する見通しだ。

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EU内では14カ国で143基の原発が稼動しており、年間7,000立法メートルの高レベル核廃棄物が排出されている。こうした放射性廃棄物は現在、地表近くまたは地上の暫定的な貯蔵施設に保管されているが、施設の寿命は50-100年とされるうえ、地震や火災、テロ攻撃などの危険にさらされている。国際原子力機関(IAEA)をはじめとする国際機関や専門家は地中での貯蔵が最も安全性が高いとの見解でほぼ一致しており、欧州委は地下深くでの貯蔵が放射性廃棄物の最終処分方法として最善と結論づけた。

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指令案によると、加盟国は最終処分場をどこに、いつまでに建設するか、財源や管理をどうするかなど具体的な計画案をまとめ、欧州委に提出することが義務づけられる。加盟国は最終処分場を共同で使用することができるが、域外へ搬出して処分することは禁止される。地下何メートルの位置に最終処分場を建設すべきかに関しては、場所によって岩盤の固さなど条件が異なるため、最低基準の設定は見送られた。ただ、ある欧州委幹部は科学的見地から「400-700メートルの間」が適切との見解を示している。

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原発を保有するEU諸国のうち、現時点で放射性廃棄物の最終処分について具体的な計画をまとめているのはフィンランド、スウェーデン、フランスの3カ国にとどまっている。フィンランドではすでに地下貯蔵施設の建設場所が決まっており、2020年の稼動が見込まれる。フィンランドの計画を基に欧州委が行った試算によると、放射性廃棄物の最終処分にかかる費用は原発の発電コストの3-4%程度とみられている。

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