2010/11/22

産業・貿易

エアバス補助金でWTOが口頭聴聞、最終判断は年明け以降に

この記事の要約

欧州の航空機大手エアバスに対するEU加盟国の補助金が世界貿易機関(WTO)協定に違反しているとして、米国がEUを提訴した通商紛争で、WTO上級委員会が先に実施した口頭聴聞における意見陳述の録画が18日公開された。1審に当 […]

欧州の航空機大手エアバスに対するEU加盟国の補助金が世界貿易機関(WTO)協定に違反しているとして、米国がEUを提訴した通商紛争で、WTO上級委員会が先に実施した口頭聴聞における意見陳述の録画が18日公開された。1審に当たるWTO紛争処理小委員会(パネル)は今年6月、EU加盟国によるエアバスへの補助金を違法とする最終報告を公表し、EU側が裁定を不服として上級審にあたる上級委に上訴。米側も一部主張が認められなかったとして上訴していた。上級委は12月にも聴聞会を予定しており、最終判断が示されるのは年明け以降になる見通しだ。

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パネル報告は、エアバスの超大型旅客機「A380」の開発支援を目的としたEU主要国による資金援助の一部がWTO協定で禁止された輸出補助金にあたると認定し、90日以内に是正措置を講じるよう勧告した。具体的には英、独、スペイン政府による超低利融資のほか、仏政府による組立工場の用地提供や、独・スペイン政府による自国工場の建設費助成などがWTOルールに抵触するとしている。

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EUは上訴にあたり、パネル報告のうち◇EU加盟国によるA380の開発支援を輸出補助金と位置づけている◇エアバスに対する補助金とボーイングの業績悪化の間に因果関係があると結論づけている◇ハンブルクなど3工場に関連したインフラ整備について、エアバスが適正な使用料を支払っているにもかかわらず、独・仏政府による違法な補助金とみなしている――の3点について、裁定は誤っていると主張していた。

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EU側は今月11日に開かれたWTO上級委の口頭聴聞でも改めてこうした点を指摘し、裁定の見直しを求めた。一方、米側はA380の開発および生産を支援するための仏、英、独、スペイン政府からの違法な補助金が少なくとも総額180億ドル(約131億ユーロ)に上ったと主張。米側が違法な輸出補助金にあたると指摘した7件の資金支援のうち、WTOパネルが違法と認定したケースは3件だった点などを問題視し、公的資金を投じて継続的に新機種の開発支援を行うEUのシステム自体を違法と位置付けて是正を求めるべきだと主張した。

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