2010/11/29

環境・通信・その他

RoHS指令改正案が欧州議会で可決、新たに医療機器など対象に

この記事の要約

欧州議会は24日の本会議で、電気・電子製品への特定有害物質の使用を禁止した「有害物質の使用禁止に関する指令(RoHS指令)」の改正案を賛成多数で可決した。新たに医療機器などが規制の対象となり、鉛や水銀などの有害物質を使用 […]

欧州議会は24日の本会議で、電気・電子製品への特定有害物質の使用を禁止した「有害物質の使用禁止に関する指令(RoHS指令)」の改正案を賛成多数で可決した。新たに医療機器などが規制の対象となり、鉛や水銀などの有害物質を使用した製品の流通が禁止される。すでにEU加盟国は改正案の内容で合意しており、閣僚理事会の正式な承認を経て年内にも新指令が発効する見通し。加盟国は1年半以内に国内法を整備することが義務づけられる。

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RoHS指令は電気・電子機器による環境破壊と健康被害のリスクを最小限に抑えるため、製造業者に廃家電の回収・リサイクルを義務づけた「使用済み電子・電気製品に関する指令(WEEE指令)」とセットで2003年に制定された。RoHS指令に基づき、EU域内では06年7月1日以降、鉛、カドミウム、水銀、六価クロム、ポリ臭化ビフェニール(PBB)、ポリ臭化ビフェニルエーテル(PBDE)を使用した電気製品や電子機器などの販売が禁止されている。テレビ、冷蔵庫、パソコン、照明器具など幅広い製品が規制の対象になっているが、実際にはこれら6種類の特定有害物質を含む製品が依然として流通しており、適用除外も多いことから、欧州委が2年前にRoHS指令の改正案をまとめ、欧州議会と閣僚理事会による協議が続いていた。

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今回の改正により、新たに医療機器や工業用監視装置などが規制の対象となり、施行から8年の移行期間を経て、6種類の特定有害物質を含む製品の販売が禁止される。ただし、太陽光パネル、大型の据付け型産業用工具、軍用機器などは引き続き対象製品から除外される。一方、欧州議会環境委員会はカーボンナノチューブとナノシルバーを新たに特定有害物質に指定し、電気・電子製品への使用を禁止することを提案していたが、最終的に同措置は見送られた。ただし、欧州議会は欧州委に対し、ナノ素材の安全性について徹底した科学的検証を行ったうえで必要な措置を講じるよう求めている。欧州委は新ルール導入から3年以内に新指令の見直しを行い、影響評価に基づいて使用禁止物質や対象製品の追加・変更など提案する。

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