2010/12/6

欧州ビジネスウオッチ

ポルシェの50億ユーロ増資、株主が承認

この記事の要約

独高級車大手ポルシェの株主総会が11月30日、本社所在地のシュツットガルトで開かれ、総額50億ユーロの増資計画が承認された。増資はフォルクスワーゲン(VW)と合意した経営統合の要をなすもので、今回の決議により両社の統合計 […]

独高級車大手ポルシェの株主総会が11月30日、本社所在地のシュツットガルトで開かれ、総額50億ユーロの増資計画が承認された。増資はフォルクスワーゲン(VW)と合意した経営統合の要をなすもので、今回の決議により両社の統合計画は大きく前進した格好だ。

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ポルシェは投機的な手法を用いてVWを買収しようとして失敗。巨額の債務を抱え込み、VWに経営統合されることになった。有利子債務は現在60億ユーロに上る。ポルシェは債務を大幅に圧縮しないと経営統合が法的に認められないため、経営陣は株主総会で理解を求めた。

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増資は議決権付きの普通株で25億ユーロ、議決権のない優先株で25億ユーロを実施する。普通株についてはその大半を保有するポルシェの創業者一族が以前から承認しており、必要な資金は販売子会社をVWに売却して捻出することになっている。一方、優先株主の間には増資計画への批判があり、優先株の増資案が株主総会で承認されるかどうかは不透明だった。最終的には優先株主の88.39%が賛成したため、増資計画のハードルはクリアされた。

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ポルシェは来年5月末までに増資を実施し、同年末に予定するVWとの経営統合を実現する考え。ただ、ポルシェの投機を批判して米国の投資家が起こした訴訟や独検察当局の捜査の成り行き次第では経営統合が遅れる恐れもあるという。

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