EUとインドは10日、ブリュッセルで首脳会議を開き、2011年春の自由貿易協定(FTA)交渉妥結を目指す方針で合意した。戦略的パートナーとしての関係性を強化して、総人口15億人を超える自由貿易圏の創設を急ぐ。
\EUとインドは2007年にFTA交渉を開始した。インドにとってEUは最大の貿易相手地域で、09年の貿易額は双方合わせて計690億ユーロに上った。EU側はインドに対し、法律、金融、小売りなどのサービス分野でより一段の市場開放を求めている。一方、インドは主にIT関連分野でEU市場への参入を促進したい考え。今後の交渉ではEU側が改善を求めている環境対策や児童労働などの問題に対するインド側の対応が鍵になるとみられる。
\EUのファンロンパイ大統領は会議後の会見で「過去最大級の二国間協定」の締結に向け、「2011年春に野心的でバランスのとれた成果を得る」との立場で一致したと説明。さらに温暖化対策やテロ対策など、貿易以外の幅広い分野で協力体制を強化することで合意したことを明らかにした。
\首脳会議ではこのほか、EU市場を経由して発展途上国などに輸出されるインド製後発医薬品の取り扱いについて話し合われた。インド製の後発医薬品をめぐっては、経由地のオランダが「特許侵害の疑いがある」としてブラジル向けの輸出を差し止めたことにインド政府が反発。今年5月に世界貿易機関(WTO)にEUを提訴する事態に発展している。欧州委員会のデフフト委員(通商担当)はロイター通信に対し、EU側は偽造品の疑いがある場合を除き、税関当局による輸送経由地での検査を行わないことで合意したと説明。「合意内容を実行に移すため、関税規定の見直しに着手する」と明言した。一方、インドのシャルマ商工相は「この問題に関する対立は解消された」と語り、近くWTOへの提訴を取り下げる意向を示した。
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