2011/1/3

競争法

米ニューズの英BスカイB買収計画を承認

この記事の要約

欧州委員会は12月21日、米メディア大手ニューズ・コーポレーションが英衛星放送最大手BスカイBを完全買収する計画を承認した。欧州内で競争を阻害する懸念はないため。ただ、これとは別に英国のメディア通信監督当局が国内のメディ […]

欧州委員会は12月21日、米メディア大手ニューズ・コーポレーションが英衛星放送最大手BスカイBを完全買収する計画を承認した。欧州内で競争を阻害する懸念はないため。ただ、これとは別に英国のメディア通信監督当局が国内のメディアの多様性という点から審査を進めており、欧州委は今回の決定が英当局の審査に影響を与えることはないと指摘している。

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ニューズはすでにBスカイBの株式39.1%を取得しているが、6月に残り株を総額78億ポンドで買い取ることを提案した。BスカイBは1株当たり7ポンドという提示額が低すぎるとして拒否したものの、1株当たり8ポンドを超えれば買収を受け入れる用意があると表明。双方は買収の認可を得てから交渉に入ることで合意していた。

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ニューズは、米国ではフォックスなどのテレビ局や大手映画会社20世紀フォックスなどを抱え、欧州では英国でタイムズやサンなど新聞4紙のほかスカイ・イタリアとスカイ・ドイツのペイテレビ2社を傘下に収める。BスカイBは英国とアイルランドで事業を展開し、すでに取締役会にはニューズが役員を送り込んでいる。

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欧州委の調査の結果、今回の取引でBスカイBのシェアにはほとんど変化がないうえ両社を合わせてもオンラインやテレビの広告のシェアは限られることが判明した。またニューズとBスカイBの垂直関係が与える影響について、BスカイBの映画放映権の獲得や新聞定期購読とペイテレビ契約の抱き合わせ販売、新聞でのペイテレビの広告についても調べたが、いずれも競合会社を締め出す可能性は低いことがわかった。このため取引に競争上の問題はないと結論付けた。

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ただし、英国では公共放送のBBCをはじめデイリーテレグラフ、ガーディアンなど主要紙や通信大手BTなどが取引に反発。英国のメディア通信監督当局は、EUの買収規則に基づいて、独自に買収の可否を審査することにしている。

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