2011/1/24

産業・貿易

加盟国がストレステスト厳格化で一致、審査基準では合意ならず

この記事の要約

EU加盟国は18日の財務相理事会で、今春にも実施する域内の銀行に対する健全性審査(ストレステスト)を厳格化することで合意した。審査基準を厳格化してストレステストに対する信頼性を高めるのが狙い。加盟国は信用不安の解消に向け […]

EU加盟国は18日の財務相理事会で、今春にも実施する域内の銀行に対する健全性審査(ストレステスト)を厳格化することで合意した。審査基準を厳格化してストレステストに対する信頼性を高めるのが狙い。加盟国は信用不安の解消に向け、資本水準に加えて新たに資金流動性とソブリン債リスクも厳密にチェックすることで一致した。ただ、具体的な審査基準については合意に至っておらず、今後、欧州銀行監督機構(EBA)と欧州中央銀行(ECB)で詳細を詰める。

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欧州銀行監督機構(EBA)は今月半ば、域内の銀行に対する2回目のストレステストを今年上半期に実施し、流動性不足のリスクについても別途、評価を行う方針を打ち出した。昨夏の初回テストでは審査対象となった銀行のほとんどが「合格」となったにもかかわらず、その後、アイルランドで主要行が相次いで深刻な資本不足に陥り、信用不安が広がった反省を踏まえたもの。これを受け、財務相理では審査の対象や手法、公表するデータの範囲などが話し合われた。

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欧州委員会のバルニエ委員(域内市場・サービス担当)は理事会後の会見で、加盟国は「ソブリン債リスクを考慮に入れた完全な透明性」を確保する必要があるとの認識で「ほぼ一致している」と説明。資本水準の審査と流動性審査を並行して行うべきだとの考えを示した。同委員はそのうえで、「評価方法についての議論にはなお数日を要する」と述べ、ギリシャなどのデフォルト(債務不履行)をテストのシナリオとして想定するかどうかが争点になったことを示唆した。

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一方、ドイツのショイブレ財務相は「加盟国のほとんどがストレステストの対象行を拡大すべきだと考えている」と指摘。流動性不足に伴うリスクが考慮されず、アイルランドの信用不安を未然に防げなかった前回テストと同じ失敗を繰り返してはならないと強調した。ただ、「流動性リスクに関する審査には賛成だが、どこまで結果を公表すべきかどうかについてはさらに議論する必要がある」と発言。市場に及ぼす影響を考慮して公表するデータの範囲を決めるべきだとの考えを示した。

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