2011/1/31

総合 –EUウオッチャー

ユーロ防衛基金の活用弾力化案が浮上、ギリシャなどの国債買戻も支援

この記事の要約

ギリシャなど財政難に陥っているユーロ参加国による国債買戻しを“ユーロ防衛基金”で支援する案が浮上している。欧州委員会が28日明らかにした。ギリシャなどの債務負担を減らし、信用回復につなげるのが狙い。EU加盟国は2月4日に […]

ギリシャなど財政難に陥っているユーロ参加国による国債買戻しを“ユーロ防衛基金”で支援する案が浮上している。欧州委員会が28日明らかにした。ギリシャなどの債務負担を減らし、信用回復につなげるのが狙い。EU加盟国は2月4日に開く首脳会議で同案について協議する見通しだ。

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EUは昨年5月、深刻な財政危機に陥っていたギリシャに対して、国際通貨基金(IMF)と協調して向こう3年間で総額1,100億ユーロの緊急融資を行うことを決定。さらに同月には、ギリシャ危機が飛び火してデフォルト(債務不履行)に陥りかねない国が出た場合に備えて、IMFと共同で総額7,500億ユーロのユーロ防衛基金を創設。これまでに同基金はアイルランドに支援を行っている。

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ユーロ防衛基金は現在、信用不安が増大して国債発行による資金調達が困難になった国への融資に用途が限定されている。EUで浮上している案は、同基金の中核である総額4,400億ユーロ規模の「欧州金融安定基金(EFSF)」については弾力的に活用し、ギリシャなどの債務負担を減らすため、発行済みの国債の一部を買い戻すための資金を供与できるようにするという内容。信用不安が深刻化した場合だけでなく、それを未然に防ぐためにも基金を有効活用するという形となる。

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ギリシャ国債は現在、額面を下回る価格で取引されている。同国がEFSFからの融資を使って国債を市場から買い戻せば、低コストで債務を削減することができる。

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欧州委の報道官によると、同案はユーロ圏の債務危機対策強化に向けた施策のひとつとして検討されているもの。ギリシャだけでなく、すべてのユーロ参加国が適用対象という。

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