2011/1/31

産業・貿易

ロシアとの二国間航空協定に違反の疑い、欧州委が7カ国に警告

この記事の要約

欧州委員会は28日、ロシアとの二国間航空サービス協定がEUのルールに違反している疑いがあるとして英国、ベルギー、デンマーク、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、スウェーデンの7カ国に対して警告書を送付したと発表した。すで […]

欧州委員会は28日、ロシアとの二国間航空サービス協定がEUのルールに違反している疑いがあるとして英国、ベルギー、デンマーク、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、スウェーデンの7カ国に対して警告書を送付したと発表した。すでに同様の手続きをオーストリア、フィンランド、フランス、ドイツの4カ国に対しても昨年10月に始めており、欧州委は他の加盟国についても調査を進めている。

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加盟各国は域外の第三国との航空サービス協定では、EUの全ての航空会社に平等に適用することを示す「EU指定条項」を盛り込まなければならない。これは1990年代初めに創設された単一欧州航空市場には欠かせないもので、EUのどこでも航空会社は同じ条件で運営できることを保証することになる。2002年の欧州司法裁判所の判決でも「EU指定条項」を義務付けることを確認している。

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EU加盟各国と域外第三国との大部分の協定はこれに従っているものの、ロシアとの二国間協定ではこれが盛り込まれておらず、ルールに違反している疑いがある。このため他の加盟国に買収された航空会社が、二国間協定の対象とならないという現実的な問題も発生している。

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さらにロシアとの二国間協定ではシベリア上空の通過料の支払いが義務付けられているが、これはロシアの航空大手アエロフロートに直接支払われている。しかしEUの競争ルールでは航空会社が競合会社と商事契約を結ぶことを禁じており、二国間協定がこれに違反しているとの懸念がある。EUの航空各社が支払った通過料は2008年だけで、合わせて約4億2,000万ドルに上ると見られている。

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警告書が送付される7カ国は、2カ月以内に満足のいく回答をしなければ是正を求める警告書が送られることになる。最終的に欧州委が各国を欧州司法裁判所に提訴する可能性も出てくる。

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