2011/2/21

総合 –EUウオッチャー

ユーロ圏の10-12月成長率は0.3%、荒天響き伸び悩み

この記事の要約

EU統計局ユーロスタットが15日発表した2010年10-12月期のユーロ圏(今年1月に参加したエストニアを除く16カ国)の域内総生産(GDP、実質ベースの速報値)は前期比0.3%増となり、前期と同水準の伸びとなった。プラ […]

EU統計局ユーロスタットが15日発表した2010年10-12月期のユーロ圏(今年1月に参加したエストニアを除く16カ国)の域内総生産(GDP、実質ベースの速報値)は前期比0.3%増となり、前期と同水準の伸びとなった。プラス成長は6四半期連続。ただ、大雪の影響でドイツの建設業が停滞したことなどが響き、予想を下回る成長となった。(表参照)

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EU27カ国ベースのGDPは0.2%増で、上げ幅は前期の0.5%から縮小した。非ユーロ圏の大国である英国が大幅なマイナスに落ち込んだことが反映された。前年同期と比べた伸び率はユーロ圏が2%、EUが2.1%。前期と比べてユーロ圏では0.1ポイント上昇したが、EUは0.1ポイント鈍化した。

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今回のGDP速報値は、EU19カ国のデータに基づいてはじき出された。最大の経済国であるドイツの成長率は前期比0.4%で、前期の0.7%から後退。独連邦統計局によると、厳しい寒波と積雪の影響で11月末以降に建設活動が停滞したことが大きかった。一方、外需はアジアへの輸出を中心に好調だった。内需は設備投資が引き続き活発だったほか、個人消費も増加した。

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フランスの成長率は前期比0.3%で、前期と同水準。イタリアは0.1%と、前期の0.3%から後退した。英国は悪天候により小売りなどサービス業が低迷した影響で、前期比0.5%減となり、5四半期ぶりにマイナス成長に落ち込んだ。

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一方、信用不安がくすぶっている国では、ギリシャが前期比1.4%減となり、引き続きマイナス成長が続いている。ポルトガルは前期のプラス0.2%から0.3%のマイナス成長に転落した。スペインは0.2%の成長を確保した。

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ユーロ圏の2010年通年の成長率は1.7%となり、前年のマイナス4.1%から好転したが、リーマンショック前の水準には及んでいない。

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市場では、10-12月期は悪天候という特殊要因が成長の足かせとなったことから、2011年1-3月期はその反動効果で、堅調なドイツ経済にけん引されながら前期を上回る成長が期待できるとみている。ただ、ポルトガル、ギリシャなど財政悪化が深刻な国は、厳しい緊縮政策が景気を圧迫するのは必至。ドイツなど北部と南部の二極化が進むのは確実とみられる。

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