2011/2/21

総合 –EUウオッチャー

ハンガリーがメディア法改正へ、規制範囲などで欧州委と合意

この記事の要約

欧州委員会は16日、ハンガリー政府が同国のメディア法の改正に合意したと発表した。今年1月に発効した同法をめぐっては、EU内で報道の自由を制限するものだとの批判が高まっており、欧州委は報道や表現の自由を定めたEU法に抵触す […]

欧州委員会は16日、ハンガリー政府が同国のメディア法の改正に合意したと発表した。今年1月に発効した同法をめぐっては、EU内で報道の自由を制限するものだとの批判が高まっており、欧州委は報道や表現の自由を定めたEU法に抵触する可能性があると警告していた。ハンガリー政府は2週間以内に議会に改正法案を提出する方針で、現EU議長国のメディア規制をめぐる混乱はようやく収束に向かいそうだ。

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オルバン首相率いる中道右派与党フィデス・ハンガリー市民同盟の後押しで昨年末に成立したメディア法は、新設のメディア監督機関「国家メディア通信庁(NMHH)」が新聞、テレビ、インターネットなど各種メディアの報道内容を監視し、公共の利益に反したり、政治的に中立でないと判断した場合、最大2億フォリント(約8,000万円)の罰金を科すという内容。さらにNMHHは国の安全保障に関わる報道について、記者に情報源の開示を求める権限を持つ。これに対して欧州委は、報道が「バランスを欠いた」内容かどうかを判断するための基準が明記されていないことや、外国のメディアも規制の対象になり得る点などを問題視し、「国境のない視聴覚メディアサービス指令(AVMS)」やEU基本権憲章などを法的根拠としてハンガリー側に規制の見直しを求めていた。

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ハンガリー政府は欧州委との協議を通じ◇バランスを欠いた報道に関する規定は社会的影響が大きいテレビ放送に適用を限定し、オンデマンドサービスなどは対象外とする◇外国メディアを規制の対象から除外する◇各種メディアに事前登録・認可を義務付けた規定に関しては、他のEU諸国に倣ってサービス開始から60日以内の登録義務に変更する◇メディア報道が個人や団体の感情を害する内容であってはならないとする規定はEU基本権憲章で保障された表現の自由を制限する可能性があるため、憎悪や差別を煽る場合に限って適用する――の4点で合意した。

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 欧州委のクルース副委員長(デジタルアジェンダ担当)は声明で「ハンガリー政府がEU法に沿う形でメディア法の改正に合意したことを歓迎する。法改正とその適用が確実に実行されるよう、引き続き状況を注視していく」と述べた。

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