2011/3/28

競争法

ドイツ取引所とNYSEの合併、EUの審査は長期化必至

この記事の要約

欧州委員会のアルムニア委員(競争政策担当)は22日、フランクフルト証券取引所を傘下に持つドイツ取引所とニューヨーク証券取引所などを運営するNYSEユーロネクストの合併計画について、可否を判断するEUの審査が長期化するのは […]

欧州委員会のアルムニア委員(競争政策担当)は22日、フランクフルト証券取引所を傘下に持つドイツ取引所とニューヨーク証券取引所などを運営するNYSEユーロネクストの合併計画について、可否を判断するEUの審査が長期化するのは避けられないとの見通しを示した。合併で誕生する新会社が欧州のデリバティブ取引で独占に近い状態になるほか、証券の取引から決済、保管業務まで垂直的に手掛けることで、競争上の問題が浮上するのが必至としている。

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ドイツ取引所とNYSEユーロネクストは2月中旬に合併で合意した。出資比率がドイツ取引所60%、NYSE40%となる新会社は、売買代金や時価総額で世界最大の取引所となる。とくに、欧州の証券取引所を通じたデリバティブ取引では、ドイツ取引所がスイス証取と合同出資で世界最大の電子取引市場「ユーレックス」を運営していることもあり、90%を超えるシェアを握る。

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アルムニア委員は欧州議会の公聴会で、ドイツ取引所が証券取引の決済、保管・管理業務を外部に委託せず、独自に行っていることに触れ、「垂直的なビジネスモデルは好ましくない」と述べ、NYSEユーロネクストとの統合で独占が強まる懸念を表明。合併認可が申請された場合、審査は「簡単なものにはならないだろう」と述べた。

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EUでは企業の買収、合併について、まず1カ月が期限の初期調査を実施。これで競争上の問題が浮上すれば認可を見送り、3カ月をかけて本格的な調査を行い、可否を最終判断することになっている。アルムニア委員の発言は、ドイツ取引所とNYSEユーロネクストに関する審査が本格的調査に発展することを示唆した形だ。

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