2011/4/18

総合 –EUウオッチャー

英・蘭への預金返済問題、アイスランドが再度法案否決

この記事の要約

アイスランドで10日、金融危機で経営破たんした大手銀行に口座を持っていた英国とオランダの預金者に公的資金で預金を払い戻す法案の是非をめぐる国民投票が実施され、反対多数で法案が否決された。同法案が国民投票で否決されるのは2 […]

アイスランドで10日、金融危機で経営破たんした大手銀行に口座を持っていた英国とオランダの預金者に公的資金で預金を払い戻す法案の是非をめぐる国民投票が実施され、反対多数で法案が否決された。同法案が国民投票で否決されるのは2度目。これにより同問題は法廷で決着を余儀なくされることになった。

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アイスランドは2008年、破たんした大手銀行ランズバンキのネット銀行「アイスセーブ」の外国人口座を閉鎖し、34万人に上る英、オランダ人預金者の約50億ドルに上る資金を凍結。これを肩代わりして国内の預金者に払い戻した英、オランダ政府は、アイスランドに返済を求めている。アイスランドは09年末にいったんは返済法案をまとめたが、大統領の署名拒否を受けて昨年3月に実施された国民投票で93%の反対で否決された。民間銀行の失態のつけを納税者に負担させるのはおかしいとする世論の声が反映された結果となった。

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これを受けてアイスランドと英、オランダは返済条件見直しについて協議し、昨年12月に合意。元本50億ドルの返済期間は当初の15年から37年に延長され、5.55%となっていた利子も英国向けが3.3%、オランダ向けが3%に引き下げられることになった。

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新法案はアイスランド議会で2月に承認されたが、大統領が再び署名を拒否したため、2度目の国民投票が実施されることになった。しかし、返済条件が緩和されても国民の反発は強く、反対59.7%、賛成40.1%で否決された。

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アイスランドはEUと加盟交渉を行っているが、英、オランダは返済するまで加盟を認めないとしており、早期加盟を目指す政府にとっては同問題の解決が急務。しかし、法案が再度否決されたことで、3カ国は同問題の決着を欧州自由貿易連合(EFTA)裁判所に委ねることになり、解決の長期化が避けられなくなった。

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