2011/5/2

総合 –EUウオッチャー

液状物機内持ち込み規制、EUが一部解除を延期

この記事の要約

欧州委員会は4月29日、EUが航空テロ対策として導入している液状物の機内持ち込み規制の一部解除を延期すると発表した。EU域外からの便でEU内の空港に到着し、接続便に乗り換えるトランジット客が起点の空港の免税店で購入した品 […]

欧州委員会は4月29日、EUが航空テロ対策として導入している液状物の機内持ち込み規制の一部解除を延期すると発表した。EU域外からの便でEU内の空港に到着し、接続便に乗り換えるトランジット客が起点の空港の免税店で購入した品物については、5月から持ち込めるようにする予定だったが、多くの国が規制緩和に応じなかったことから、混乱を避けるため、全加盟国に同規制を「一定期間」延長するよう要請した。

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EUは2006年8月に英国で旅客機を標的としたテロ未遂事件が発覚したことを受け、加盟国共通の手荷物持ち込み規制を同年11月に導入。化粧水、香水、飲料など液状物(通関後にEU内の空港で購入した品物を除く)の機内持ち込みは、1種類につき100ミリリットル以下に制限され、しかもすべての容器を容量1リットル以下の透明なプラスチック袋に入れなければならなくなった。域外の航空会社だけでなく、EU内の空港を離陸するすべての便も対象となる。

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同規制は各空港での液状物の種類まで分析できる精度の高い手荷物スキャナーの導入を前提に、2013年までに撤廃されることが決定済み。第1弾として5月1日から域外からの乗り継ぎに関しては規制を解除することになっていた。これにより、例えば成田からフランクフルトを経由してロンドンに向かう旅客は、成田空港の免税店で買った液状製品をフランクフルト空港で廃棄しなくても済むはずだった。

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ところが、フランスがリビア、アフガニスタンの軍事行動に参加していることから航空テロの標的となる恐れが大きいとして、規制緩和を拒否。英国、オランダなど10カ国以上も同調したことから、欧州委は直前になって規制解除の見送りを決めた。

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欧州委のカラス委員(運輸担当)は今回の決定について、域内に規制を解除した国と継続する国が混在すると旅客の混乱を引き起こすため、加盟国が足並みをそろえる状況が整うまで延期せざるを得ないと説明している。

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なお、乗り継ぎのケースでも、米国、カナダ、シンガポールのチャンギ国際空港、マレーシアのクアラルンプール国際空港、クロアチアの主要6空港からの旅客については、空港での保安態勢が万全として、すでに持ち込み規制が解除されている。

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