2011/5/9

総合 –EUウオッチャー

欧州中銀が金利据え置き、総裁は来月の利上げ見送り示唆

この記事の要約

欧州中央銀行(ECB)は5日にヘルシンキで開いた定例政策理事会で、ユーロ圏17カ国に適用される最重要政策金利を年1.25%に据え置くことを決めた。ECBは物価の急上昇を受けて、4月に0.25%の利上げを実施したばかりで、 […]

欧州中央銀行(ECB)は5日にヘルシンキで開いた定例政策理事会で、ユーロ圏17カ国に適用される最重要政策金利を年1.25%に据え置くことを決めた。ECBは物価の急上昇を受けて、4月に0.25%の利上げを実施したばかりで、今回の決定は予想通り。市場は追加利上げを確実視しているが、トリシェ総裁は来月の利上げは見送ることを示唆した。

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ユーロ圏のインフレ率は4月に前年同期比2.8%となり、前月から0.1ポイント上昇。2%となっているECBの上限目標値との差が拡大している。トリシェ総裁は理事会後の記者会見で、「金利政策のスタンスは、なお緩和的だ」と述べ、インフレ対策として追加利上げに踏み切る用意があることを明らかにした。

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ただ、総裁は物価動向について「非常に注意深く見守っていく」とコメント。翌月の利上げの予告として用いている「強い警戒」という表現は使わなかった。このため、6月の利上げ見送りは決定的になったと受け止められている。

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ユーロ圏ではインフレ圧力が引き続き強まっている一方で、信用不安問題が解消せず、EUと国際通貨基金(IMF)はギリシャ、アイルランドに続いてポルトガルへの緊急融資を決めた。トリシェ総裁は来月の利上げ見送りに関して、「こうした国々の状況を考慮したのか」という記者団の質問に「それはまったくない。物価安定のためだ」と否定したものの、急激な利上げがポルトガルなどの苦境を深めるとの判断が働いたのも確実とみられる。

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それでも市場では、ECBが7月に金利を0.25%引き上げ、さらに年内に再度、同水準の利上げを実施し、金利を1.75%まで引き上げるとの見方が有力だ。

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