2011/5/9

環境・通信・その他

EU全域の原発ストレステストは6月開始、テロや航空機事故の扱いが焦点に

この記事の要約

EU加盟国は3日開いた非公式のエネルギー相会議で、域内の原子力発電所の安全性を点検する「ストレステスト」について協議し、6月から検査を開始して12月までに結果をまとめることで合意した。週内に開く専門家会合で評価基準を含む […]

EU加盟国は3日開いた非公式のエネルギー相会議で、域内の原子力発電所の安全性を点検する「ストレステスト」について協議し、6月から検査を開始して12月までに結果をまとめることで合意した。週内に開く専門家会合で評価基準を含む具体的な実施計画を詰める。福島第一原子力発電所の事故を受け、加盟国は厳格な基準に基づいて原発の安全性を総点検することで一致しているが、自然災害の他にテロ攻撃や航空機事故なども想定に加えるべきか、実際に誰が検査を行うかなどをめぐって調整が難航する可能性もある。

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ストレステストは地震、津波、洪水、豪雨などの自然災害をシナリオとして想定し、域内14カ国にある原子炉143基を対象に行われる。会議に出席した欧州委員会のエッティンガー委員(エネルギー担当)は「検査は客観的かつ厳格でなければならない」と強調。評価基準は6項目になるとの見通しを示し、12日に開く原子力安全当局者などによる会合で詳細を詰める方針を明らかにした。

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ただ、現時点で加盟国にEU共通の安全性テストを義務付ける法律はないため、各国の判断による任意ベースでの実施になる。また、南ドイツ新聞によると、原発導入国などの規制当局が策定したストレステストの実施計画案ではテロや事故で飛行機が原発に衝突するといった人為的災害はシナリオに含まれておらず、実際の点検は原発を運営する事業者が行うことになっている。オーストリアのベルラコビッチ環境相はオーストリア通信(APA)の取材に対し、テロやサイバー攻撃、飛行機事故などもストレステストのシナリオに加えるべきだと指摘。さらに「原発運営会社が自分で点検を行ったところで何の意味もない」と述べ、独立した専門機関が検査を実施すべきだとの考えを示した。

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