2011/5/9

環境・通信・その他

生物多様性保護10カ年戦略、欧州委が発表

この記事の要約

欧州委員会は3日、生物多様性の保護に向けた新たな10カ年戦略を発表した。自然と生態系サービスに悪影響を及ぼしていることから対策が急がれる問題を絞り込み、6つの重点目標を掲げたうえで、それらに対する行動指針を示したものだ。 […]

欧州委員会は3日、生物多様性の保護に向けた新たな10カ年戦略を発表した。自然と生態系サービスに悪影響を及ぼしていることから対策が急がれる問題を絞り込み、6つの重点目標を掲げたうえで、それらに対する行動指針を示したものだ。これらの戦略は、昨年10月に名古屋で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で採択された「名古屋議定書」(遺伝資源の利用と配分(ABS)に関する国際ルール)、および「愛知ターゲット」(2010年以降の世界目標)に沿ったものとなっている。

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10カ年戦略で掲げられた行動目標は◇既存の自然保護関連規則および自然保護区のネットワーク保護の実施を徹底し、生物の生息環境と種の保存状況を改善させる◇緑のインフラの活用促進などを通じて、可能な分野においては生態系および生態系サービスの改善を図る◇農業および林業の持続可能性を保証する◇EU域内の魚種資源を保護する◇域内における生物多様性損失の原因として重大性が増している、侵入生物種の管理を促進する◇生物多様性損失の回避に向けた国際社会の一致した行動に対し、EUの貢献を拡大する――の6項目。

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種の絶滅はかつてない速度で進行しており、生態系の破壊はすでに、人間が現在、自然に依存している様々なサービスの提供を困難にしている。たとえば、欧州でとくに顕著な虫媒(昆虫が農作物の受粉を媒介すること)の大幅減少は、年間150億ユーロに上る経済的被害をもたらすなど、世界的に多大な社会・経済的損失が生じている。

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