2011/5/16

総合 –EUウオッチャー

1-3月のユーロ圏成長率は0.8%、独・仏がけん引

この記事の要約

EU統計局ユーロスタットが13日発表した2011年1-3月期のユーロ圏の域内総生産(GDP、速報値)は実質ベースで前期比0.8%増となり、前の期の0.3%を大幅に上回る伸びとなった。主要国のドイツ、フランスが好調だったほ […]

EU統計局ユーロスタットが13日発表した2011年1-3月期のユーロ圏の域内総生産(GDP、速報値)は実質ベースで前期比0.8%増となり、前の期の0.3%を大幅に上回る伸びとなった。主要国のドイツ、フランスが好調だったほか、ギリシャが深刻な財政危機に直面しながらもプラス成長に転じ、全体で2010年4-6月期以来の高い成長を記録。成長率は米国の0.4%を上回った。(表参照)

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EU27カ国ベースのGDPも0.8%増で、前期の0.2%から拡大。前年同期と比べた伸び率はユーロ圏、EUとも2.5%となり、上げ幅はそれぞれ前期の2%、2.2%を上回った。

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今回のGDP速報値は、EU20カ国のデータに基づいてはじき出された。最大の経済国であるドイツの成長率は前期比1.5%で、前期の0.4%から大幅に拡大。金融危機前の水準まで持ち直した。前期の成長率が大雪による建設業停滞の影響で伸び悩んだ反動という面もあるが、輸出が好調で、前年同期比では東西ドイツ統合後で最高の伸びとなった。

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フランスも輸出、個人消費が好調で、前期比1%増。伸び率は前期の0.3%を上回り、06年4-6月期以来の高水準に達した。また、ギリシャは前期の2.8%減から0.8%増に急回復し、09年10-12月期以来のプラス成長を確保した。

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ただ、その他の信用不安を抱える国では、ポルトガルが前期比0.7%減とマイナス成長が続いているほか、イタリアが0.1%増、スペインが0.3%増と伸び悩んでおり、南欧の財政危機国と独仏などとの格差が鮮明となってきている。

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欧州委最新予測、ユーロ圏11年成長率は1.5%

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欧州委員会は同日発表した春季経済予測で、2011年のユーロ圏のGDP予想伸び率を1.6%とし、秋季予測(昨年11月)の1.5%から0.1ポイント下方修正した、2012年については1.8%と、前回と同水準に据え置いた。EU27カ国ベースの予想成長率は11年が1.8%で、前回から0.1ポイント上方修正。12年は0.1ポイント下方修正して1.9%に設定した。

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国別ではギリシャの11年成長率をマイナス3.5%とし、前回から0.5ポイント下方修正した。1-3月期にプラス成長となった同国だが、景気回復は一時的で厳しい経済状況が続くとみている。ポルトガルもマイナス2.2%と、1.2ポイント引き下げられた。

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ギリシャは財政赤字についても、11年はGDP比9.5%と、前回予測の7.4%を2ポイント近く上回る水準に設定された。これは政府が目標とする7.6%を大きく上回る水準で、欧州委は赤字の追加削減策が必要と指摘している。

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